あらすじ
児童精神科医の小村伊緒が勤める児童福祉センター「のぞみ園」に母殺しの容疑者である九歳の少年・真下裕人が保護された。伊緒が治療にあたるうちに、裕人は心を開きはじめるようになる。同じころ「のぞみ園」の近くでは、奇妙な連続殺人事件が起きていた。その現場には母親殺害現場のものと同じ成分の黒い染みが残っていた――。「悪」の本質に挑む驚愕のサイコサイエンス・ミステリ!
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Posted by ブクログ
本の中で載っている話。
吸血鬼ドラキュラの話しである。心理学や社会学の理論がちりばめられてある。ドラキュラの性各をフロイト的解釈で、十字架とニンニクは男根の象徴。オザリオ(輪)は女性器の象徴。つまり、性的なものを忌避している。ドラキュラが鏡に映らないのはラカンの鏡像段階理論から「幼児は鏡像段階を経て、対象化さあれた自我へと発展する。その場合の鏡とは、幼児の姿を映し返す母の目差しでもある。ドラキュラは鏡に映らない。彼は自己愛を獲とくすることにさえつまずいた」のである。
<悪のポジティブ・フィードバック>理論
犯罪が坂道を転がり落ちるような加速過程に陥りやすい理由として、自己処罰的な無意識の破壊行動を想定する精神分析派の考え方や、スリル刺激に対する麻痺、すなわち脱感覚がさらなる暴走を引き起こすとする行動生物学立場の説明。