あらすじ
1枚の風景写真。Pasta Itallyのテラス席、6本指のウェイトレス、スパゲティを吐き出す客、そして奇妙な転び方の男が写っていた。生成AIの幻視(ハルシネーション)そっくりな光景だが、確かに現実の風景らしい。探偵のAI・相以(あい)とともに写真の調査に出た輔(たすく)は、突如、犯人のAI・以相(いあ)に襲撃される。はたして相以は、すべての謎を解き、相棒(バディ)を救出することができるのか。生成AI時代の本格AI探偵推理バトル。
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Posted by ブクログ
前作から約2年ぶりとなる、『探偵AIのリアル・ディープラーニング』シリーズ第5弾。今回は比較的早い刊行だが、そこでふと思う。
シリーズ第1作が刊行されたのは2018年。8年前である。今では、現実社会でもAIという言葉を聞かない日はないが、AIが急速に進化したのはここ数年のこと。そういう点では、早坂吝という作家に先見の明があったと言えるだろう。
とはいえ、このシリーズにAIという括りは必要か? という疑問を毎回抱いてしまうのも、このシリーズの特徴なんだよなあ。さて、今回はどうだったか。とりあえず、過去のシリーズ作品を振り返っても、異質であるのは間違いない。
毎回煮え切らない「以相(いあ)」が、今回はどう動くか。実体を持たない「相以(あい)」は、合尾輔というパートナーがいて、初めて移動できる。ならばパートナーから引き離してしまえ。置き去りにされた「相以(あい)」、絶体絶命?
そもそもの発端となった、写真の謎。現実レベルでも、生成AIが作った画像と実写を見分けるのは困難になっており、この点に関しては、現実レベルが本作中のレベルに追いついたと言える。一応、合理的に説明される。
離れ離れの2人(?)がそれぞれに打開を図ろうとするなど、過去にないひねった展開ではあるのだけれど…そっちの方に行くかよ! 基本的に一冊完結の本シリーズだが、過去作品が絡んでくるとだけ書いておく。とっくに忘れたっての。
自分は曲者・早坂吝のファンではあるけれど、このシリーズのファンなのかというと、何とも言い難い。期待している方向性とはずれが生じたかなあ…というのが、読み終えた正直な感想である。早坂さんにはもっと曲者であってほしい。
結局今回も、相以VS以相は消化不良に終わった。いつまで続くのだろう。