あらすじ
数多くの市民が直接政治に携わり、特定の個人に権力が長期間集中するのを極力避ける、という徹底した直接民主政を約180年にわたって安定持続させた古代ギリシア屈指のポリス、アテネ。成功すれば最大限の名誉を与えられ、ひとつ間違えば弾劾裁判で死罪になるという「緊張状態」にさらされながら、政治家であろうとした8人の男たち。その生の軌跡を追うことで見えてくる、古代ギリシア精神の真髄と民主政治の原点とは?(講談社選書メチエ)
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Posted by ブクログ
クレイステネスの改革による民主政の始まりから,ペロポネソス戦争を経た180年を,政治家の人間関係や民衆の反応などから読み解く本。常に裁判による評価にさらされ,直接民主政のもと不断の緊張におかれた政治家の苦労が窺える。ギリシア史では省かれがちな,家の系図に詳しいのも面白い。
Posted by ブクログ
前半のミルティアデス、テミストクレス、ペリクレスは資料が色々あるからか内容的には充実してる。後半になってくるとトラシュブロス、イフィクラテスなどはちょっと微妙。それでもトラシュブロス、イフィクラテスは気になるな~。参考文献になってる本とか読んでみたい。ギリシアの歴史も気になるけど、マケドニアの歴史も気になる。フィリッポス2世より前の歴史とか知りたい。やっぱり歴史はもっと勉強したい。この人の本は『アテネ最後の輝き』に続いて当たりだな~。
Posted by ブクログ
民主主義の源流は、教科書によれば、古代ギリシアのアテネ。
直接民主制というスタイルだから現代の間接民主制とは大きくことなるが、だれでも参加と責任をおうとう意味では同じ。
しかし様相は大きくことなる。
まず官僚も政党も存在しないから自分で説得してリーダーになるしかない。それは何を意味するか。市民は政治家を絶えず監視したというから、問題があればいつでも弾劾裁判にひっぱることができたという。
そこで有罪をうけるとほぼ死刑という命がけ。だから逆説的に言えばソフィスト的議論が蔓延することにもなる。
本書は、歴史に残る政治家に焦点を宛てた人物史というスタイルをとりながら、その内実を平易に紹介した好著。