あらすじ
ヨーロッパの片隅、フランクフルトのゲットーに始まって500年。
世界を制したロスチャイルド閥の手の内と素顔が明らかに!
世界金融、経済、文化、芸術に絶大な影響力を持ちながら、その素顔はほとんど知られていない「ロスチャイルド家」の面々。だからこそ憶測や噂話にもとづいたユダヤ陰謀史観に彩られ、根拠なき金満家一族のレッテルで語られることが多いのだが……。
本当のお金持ちとは、なんと愉快な面々なのか。本書は、構想から足掛け十余年をかけ、池内紀がその一族の素顔に迫ったものであり、ドイツはじめ現地取材を重ねてきた成果のひとつである。世界の歴史を動かし歴史に翻弄されてきたロスチャイルド家は、なぜ500年もの間、絶えることのない繁栄を続けてきたのか。
従来のイメージと異なり、富の稼ぎ方ではなく、社会資本や文化芸術への影の大スポンサーとしての貢献やネットワークによる“富の使い方”こそが、一族を繁栄させ王国を築いてきた秘訣だということが徐々に明らかにされていく。
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Posted by ブクログ
本を読んでとても安心した。というのも、どのようにして、富が築かれていったか、納得できる歴史経過と理由が書かれていたからだ。
偏見のない描かれ方は、貴重だ。日本ではそれほどユダヤ人に対しての先入観は激しくないと思うけれど、それでも、お金持ちのイメージや、高利貸しのイメージはなんとなくある。
しかし、はじまりは高利貸しというよりは、各国の間で入り乱れる貨幣間の金や銀の含有量を量った両替商が実態のようだ。そういう時代だったのである。
また、血縁結婚を重ねていたので富が流出しなかったのも大きいだろう。
確実に生き残るための最小限の戦略だったかもしれない。
まわりが勝手に潰れていったことも多かったのではないか。
富の使い方も鮮やかで多くの美術、学術、スポーツ、慈善、などに拠出していて庶民の空想するお金持ち像のなかの最たるものだろう。
だが、それが簡単なことでないことは、本を読むとよくわかる。誰がやっても簡単でなく、条件は特別なものではなかったろう。むしろ、不利な立場だったのではなかろうか。
本をよんでいて、やりすぎないこと、というような、教訓が頭に浮かんだ。