あらすじ
経済活動の人類史的意味を原始社会にさかのぼって明らかにし、広大な時間的空間的視野の中で、“経済的営為”の本質を考察する新しい学問、経済人類学の初めての体系的入門書。
【主な内容】
第I部 深層への回帰
1 経済人類学とは何か
2 経済人類学の諸潮流
3 ポランニーの経済史学
4 歴史認識におけるシンボリズムとコスモロジー
5 文化人類学における経済人類学
第II部 交換・貨幣の両義性
6 沈黙交易
7 貿易港と対外貨幣何か
8 貨幣の起源と本質──文明と貨幣──
9 貨幣のシンボリズム
第III部 領野を超えて
10 魔力・経済倫理・法
11 聖性と魔性の異人たち──民俗学への視座──
12 実在的認識論の世界
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Posted by ブクログ
資本主義経済はもう終わろうとしているのだけれども、その次が見えない。
資本主義経済の他にも経済はあった。今もどこかにあるかも知れない。
日本にだって、大昔には口分田や貴族の荘園制や武士による土地の支配や時代時代、土地土地で経済は回っていた。なにせそこでは人間が生き延びてたのだから。哀しく死んだ人も多かったかもしれないけど。
日本だけじゃなくて、アメリカ先住民やポリネシア人、アフリカやオーストラリア、古代ギリシャやメソポタミヤ、エジプト、インド、中国…ともかく何のかんの言いながら、人類は生き延びてきている。もちろん滅んじゃった人達もいるけど。
生存のための物財の移動に関する法則というのを導き出そうとするのが、経済人類学であるらしく、そうするためにはものの見方(パラダイム)の転換を必要とするようである。
とても、刺激的なお話しがいっぱいで、個人的には、お金にかかわる強い執着と蔑視の感情の大元につながるヒントのようなものが得られてよかった。
栗本さんの定義する貨幣とは、社会的な拘束から逃れるために支払われるもので、その社会の生存を象徴する物だそうである。
たぁ〜だダラダラと生きてるだけで何ら社会的な義務を果たしていないと悔やんでばかりいるから、その支払い手段であるお金に強い執着を見せる一方でそれを憎悪するのじゃないかと思った。
なんだか、多少なりとも社会的な義務を果たすべくやるべきことをやればいいのかと…そうすればお金のことはあまり気にならなくなるのかな…みたいに思えた。