【感想・ネタバレ】新編 日本の面影のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

目次
・はじめに
・東洋の第一日目
・盆踊り
・神々の国の首都
・杵築――日本最古の神社
・子供たちの死霊の岩屋で――加賀(かか)の潜戸(くけと)
・日本海に沿って
・日本の庭にて
・英語教師の日記から
・日本人の微笑
・さようなら

まずラフカディオ・ハーン(小泉八雲)に「ありがとう」と感謝を述べたい。
当時、極東の未開国扱いだった日本の良いところをこんなに見つけてくれて、世界に発信してくれて。

今、誰かが「神の国・ニッポン」などと言おうものなら炎上間違いないけれど、彼が日本にいた明治の後期、日本はまだ神と共に在る国だったんだなあ。
それは、神である天皇のために死ぬなんてことでは全然なくて、神の前に恥ずかしくない存在であるために、自身に誇りをもった生き方であったように思える。
今の殺伐とした日本の姿を見たらハーンはなんと思うだろう。

生活の隅々に神仏の存在を感じながらも、ハーン自身は仏教より神道を上と見ている。
”仏教には、膨大な教理と深遠な哲学があり、海のように広大な文学がある。神道には、哲学もなければ、道徳律も、抽象理論もない。ところが、あまりにも実体がないことで、他の東洋の信仰ではありえなかったことであるが、西洋の宗教の侵入に抵抗することができたのである。”
確かに浸透には抽象理論がないと思います。
だって、「やまとことば」には、抽象的概念を表現する言葉がありませんから。
ということは、古代の日本人は、抽象的な理論を考える手段がなかったということです。
だからこそ中国の文化に触れて、目からうろこの大興奮だったのではないでしょうか。

「日本の文化に比べれば、西洋の文化のなんて野蛮なこと!」と、ハーンはかなり力を込めて主張する。
例えば花を活けるということについても、以下のとおり。
”(日本の生け花は)ただ花瓶に枝を投げ入れているだけではないのだ。枝を剪定し、形を決め、美しく生けるまで、もしかしたらまるまる一時間はかかっているのかもしれないのである。だから今となっては、西洋人が「ブーケ」と呼んでいる花束などは、花を生殺しにする卑劣な行為であり、色彩感覚に対する冒瀆であり、野蛮で忌々しい蛮行に他ならないと思うようになった。”
いやいや、さすがにそれでは敵を増やすだけじゃろう。

”都会の人ならホトトギスの声を耳にすることもなく、一生を終えることになるかもしれない。鳥籠で飼おうとしても、ホトトギスは鳴かないまま死んでしまうからだ。”
なるほど。
そのうえでの、三武将のホトトギス句なわけね。
勉強になりました。

教師としてのハーンの言から2つ。
”教師は、自分の考えを生徒に押しつけようとしたりはしない。教師は、決して頭から

0
2021年06月10日

「小説」ランキング