【感想・ネタバレ】今日もいい天気 原発事故編のレビュー

あらすじ

不便ではあるけれど、美味しい空気、さわやかな風、人々のあたたかさ、濃密になっていく家族のつながり。幸福なはずの田舎暮らしが突如と破れた!3.11福島原発事故。山本家の避難、帰還、怒り、狼狽、絆…。細密な筆致の中に満腔の怒りを込めて描く!新聞「赤旗」で大好評連載された同作品が待望の単行本化。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

山本おさむさんの福島暮らしマンガの続編。
2011年3月11日、埼玉の仕事場近くで地震に見舞われた山本さん。
当初は「数日もたてば交通機関等も含めてある程度元通りになる」と楽観的に思っていたようですが、自分もしかり、(後日話を聞く限り)首都圏にいる人は結構な割合でそんな風にどこかで思ってたような気がします。
それがあの津波の映像を目にしたことで一気に気構えが変わり、さらに原発から湧き上がる謎の煙(水蒸気)の映像を見て「これは何が起こってるのか」と不安にかられたのを思い出しました。
いまいち判然としない官邸からの発表を真っすぐポジティブに受け止めようとする反面「ホントか?」とどこか疑う自分もいて、山本さんが同じような葛藤を抱えていたという描写が当時の自分の心情をそのまま映しているかのようで、読んでいて少し苦しくなりました。

マンガは奥様と飼い犬・コタちゃんの自主避難、埼玉での家探し、一時帰宅、敷地の除染…と続きますが、あわせて天栄村での2011年の米作りについても描かれています。
日本一美味しい「天栄米」というブランディングが成功しかかった矢先に被災した天栄村。村の研究会の皆さんが心を折らず、放射性物質0の米作りを目指す姿にはただただ感服しましたし、遅ればせながらぜひ食べてみたくなりました。
同時に、報道機関には食の安全について徒に消費者の不安を煽るのではなく、こういった結果をきちんと出している地道な取り組みを多数の人の耳目に触れるように報道してほしいと感じました。

震災から5年以上がたち、当時のことを思い出したり震災について考えることもグンと減っていましたが、垂れ流される情報を鵜呑みにする危なさを再認識しましたし、疑問に思うことがあるのなら「自分の目と耳と頭」をもって正しい情報を得ようとする姿勢が大切なことを教えられました。

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2016年07月22日

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