あらすじ
使いっ走り、カツアゲ、万引きの強要、度重なる暴力、そしてクラスメイトによる集団レイプまで、いじめはさまざまだが、ほとんどの被害生徒は、いじめを必死に隠し周囲に相談しない。仮に子供が告白し、親が学校に相談しても、多くの学校は調査すらしない。そればかりか「証拠を持ってこい」と言う。そこで調査、尾行、録音・録画に秀でた探偵の出番となる。いじめ調査の第一人者が、実際に体験した具体的な事例を挙げて、証拠の集め方、学校や加害生徒の親との交渉法や解決法を伝授。いじめという社会の病巣に斬り込む。
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Posted by ブクログ
もう、怖い。今のいじめってこんなんなの?!と背筋がゾッとする。著者の言う「保護者世代が思う30年前のいじめ」とはまったく違うのだ。
いじめが発覚したらまずは学校に相談する。ほとんどはそれで解決する、と著者。しかし中には学校が的外れな対応をしたり、「証拠を持ってこい」と言ったりするから探偵の出る羽目になるのだと言う。
著者がいじめ調査をするようになってから、同業者も追随したそうだが、本当に力のある探偵事務所の見分け方を最後の方に載せてくれていた。
例えば、撮影や録音の機材を数多く持っているとか、「示談交渉をする」と言う探偵はアウト(弁護士法違反)とか、「成功しなければ1円たりともいただきません」=証拠が出たら法外な金額を要求されるとか、事務所が実在しないのは怪しいとか。
Posted by ブクログ
すごくよかった。最初は全くどんな話なのか想像がつかなかったけど、物語みたいに進んでとても面白かった!
題材になってるいじめを受けているのが、ほとんど同じ世代の人たちで、身近に感じたし怖かった。いじめを探偵が解決する、解決の糸口を見つけるというのは意外だったけど、本を読み終わって、もしかしたら1番信頼性があって大事な方法の一つなんじゃないかと思う。
いかに今の世の中がおかしいか、少なくともいじめとか親子関係とか教師と生徒の関係とかがいかにおかしいかがわかり、このままじゃいけないと思った。なぜ親が子の危険に気づけないのか。教師も同じ。ただ、私自身子供なので、なにか難しいわけがあるのかどうかはわからない。でも、それでも大人が気づいてくれなかったら子供はどうしようもないじゃないか。
思わず探偵になりたいと思ってしまった一冊だった。
Posted by ブクログ
地べたを這い尽くし、いじめと向き合ってきた生の奇跡がある。言葉に真実味、すごみがある。私が陥り、また、関わってきたいじめも全く同じだ。昔はこうだった、という著者の語りのみ少し違和感があるが、それ以外は全面的に同意できる。
・いじめが理由の転校は簡単。
・父親の存在感の薄さといじめ事案は強い相関がある。
・子どもの価値観と大人の価値観は違う。
・外部の業者にいきなり丸投げでは、親子関係が心配。
・一つの新しいルール(法)を作るよりも、先生の世界、大人の世界をまともな人間関係があると言える世界にしていくのが先決。
・子どものいじめの材料は大人世界に揃っている。
Posted by ブクログ
ここまで悪質ないじめがあらゆる 学校で横行しているとは思わなかった。
殴る蹴るなどのフィジカル的な暴行が多かった昔に比べ、現代では言葉の暴力や支配など心理的に追い詰めていく類のいじめが増えている。
「仲間の証だ」と脅し万引きをさせるのには驚いた。
大人だったら逮捕されるレベルのいじめが子供の間で少なからず行われている。
被害者は周りに助けを求めるどころか必死に隠そうとするケースがほとんど。
勇気を出して学校に相談したとしても「証拠がないと対応できない」と見捨てられる。
証拠をおさえるには現場をカメラで撮影したり音声を録音する必要があり、子供にとってあまりに ハードルが高い。
この悪循環がいじめの増加につながっている。
学校の機能不全や声を上げられない子供たちに探偵が介入することで解決の糸口が見えてくる場合もある。
ほとんどの場合いじめに探偵は必要ないみたいだが、選択肢の一つとして知っておくのに損はないなと思った。
解決の糸口がつかめる
探偵からいじめ調査を始めていることから、体験した経験に基づき書かれており、本当にこんなことがあるのかといった信じられないようないじめもあった。
いじめられている子供たちを本気で救済するためには、親、学校、教育委員会などがどのように対応すれば良いのかということや、その糸口を具体的につかめることができるのではいかと思える内容だった。
Posted by ブクログ
いじめと向き合う
いじめと探偵。
この二つがどう結びつくのか、不思議に思う人もいるかもしれない。
しかし、残念ながらこれが結びついてしまうのが今の社会なのである。
著者は私立探偵として、いじめ問題と関わることとなった。
教育の専門家ではないし、「不良」な職業と罵られることもあったようだが、ごく当たり前の、探偵という以前に社会人であり、大人であり、人間としていじめと向き合っている。
著者は何度も言う。
探偵に相談する前に、親や学校、教師、周囲の大人が子供にきちんと向き合ってください。
私たちは証拠を掴むことはできても、根本的な解決はできないのだ、と。
学校ばかりに責任を押し付けている論調ではない。
多くの仕事に忙殺され、子供と向き合えない教師の立場も理解しようとしている。
しかし、現場では真っ当な教師や大人が排除され、事なかれ主義が蔓延していることに疑問を投げかけている。
相談にくる内容には信じられないようなものもある。
カツアゲ、暴力のようなものや猥褻行為までも。
信じられないが、「子供だから」手ぬるいということはない。
より、残酷な方法を思いつくこともあるのだ。
こういったことがある、ということを知らないと問題の本質は見えてこない。
あえて本書の欠点をあげるなら、報道でもあるように、SNSなどを使ったものが語られていないこと。
直接の相談を受けることがないのかもしれないし、インターネット上のいじめは証拠をとることが難しいということもあるかもしれないが、触れておいてもよかったのではないだろうか。
いじめ相談を受ける探偵社が増加しているそうだ。
それは子供ときちんと向き合わない大人の怠慢ともとれるが、もし利用するなら、という前提で良識的な探偵者を見極める方法を伝授している。
結局自社の広告か?いや、そうとも限らない。
できれば探偵なんか利用するな、と著者は述べているのだから。
子供の問題はそのまま大人の問題である。
神聖な教育の場、とか、子供同士のことだから、とかそういうことでは解決にならない。
何が、課題で、どうすれば解決に結びつくのか、第三者の視点は的を射ている。
Posted by ブクログ
最近のいじめには探偵も絡むらしい…というニュースを見て、読んでみたくなった本です。
たけしが、「いじめって言葉を使うから勘違いするけど、ふつうに暴行とか恐喝とかだから。ちゃんと言葉にしないと」的なことを言って(書いて)たけど、ほんと、その通りだな、と。
自分が中学や高校の時、大人はどうして「子ども」とカテゴライズした人間に甘いのか。
分別も、我慢も未成熟な分、「大人」よりも子どもは残酷なのに、と思っていた。
自分たちのイメージする「子ども」でいてほしいのが大人で、そのイメージの色眼鏡で見ている間は、結局、変わらないんだろう。
私には子どもはいないけれど、子どもを学校に行かせるのが怖くなる。