あらすじ
時価数千万円という幻の名刀「村正」盗難事件――。由緒ある丹羽家の夫婦が、鋭利な刃物で無残に切り殺される事件が発生した。現場周辺に積もった雪の上には犯人の足跡はなく、すべての扉、窓は施錠されていた。“雪の密室殺人事件”は、県警捜査一課の松本警部補と所轄署の小林刑事が担当。だが、事件には驚くべき結末が待っていた! 元警視庁警部補の著者がミステリ界を震撼させた衝撃のデビュー作!
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Posted by ブクログ
いわゆる格好悪い系刑事物語。ただし、刑事の才能のないおっさんが地味に解決していくかと思いきや、じゃじゃーん、閃いたー、っていうやつ。
それはやや卑怯ではないかと思いつつも、ただおっさんは基本的に使えないっぷりがすごくて、その全然いけてなく、何だかサラリーマンの悲哀のような地味っぷりがむしろ沁み入る。
あといちいち図解入りで刀剣に関して説明してくれるのが、昔の本みたいで良かった。たまには挿絵があっても良いよね。
Posted by ブクログ
TVドラマ「ショカツ」の原作者として知られる著者の1993年発表の処女長編となります。
著者は元警察官であり、本作品もその経歴を活かした警察小説なのですが、なんと「雪の密室」を取り扱っています!!
といってもメインの謎ではなく(メインは殺人現場から失われたと思われる名刀「村正」にまつわる謎です。)、その解決も本格ミステリとしてはアンフェアな印象は否めません。
とは言え、現実に密室殺人と思われるものが発生した場合のオチは案外こんなものかもしれないという説得力はあり、ある意味すれっからしの読者の思い込みという盲点を突くものと言えるかもしれません。
著書は本作品を含めて7作品を残し、2003年に54歳の若さで急逝されています。警察小説と本格ミステリの融合という大きな可能性を秘めていただけに何とも残念です。