あらすじ
だから生きづらかったのか!
7人に1人、日本に約1700万人いるとされる「境界知能」の人たち。
言語化が苦手、仕事の段取りを覚えられない、行動がワンテンポ遅い、対人関係の距離感が極端、金銭管理ができない、ダマされやすい……
困っているのに気づかれなかった人々の実態とは?
当事者を見てきた第一人者の医師が、
現状から事例、支援策まで、全体像をわかりやすく解説する。
【本書のおもな内容】
●なぜIQ70~84が境界知能となったのか?
●診断ができない・つかないことの苦悩
●「境界知能=非行少年」は本当か?
●医療、福祉、保健、心理、教育で見落とされてきた
●発達障害や知的障害との関連性とは?
●愛着障害やうつ病で気づかれなかった事例
●国内外でどんな支援が行われているのか?
●サポートが必要になる人の「9つの特徴」
「実は、境界知能とは診断名ではありません。だからこそ、周囲から理解されず、境界知能の人は、学校や就労、社会生活において、学習、対人関係、自己管理の困難や生きづらさを抱えていることが少なくありません。そのため、成人期になっても家族のサポートを必要としている当事者も多いのです。
(中略)
境界知能は気づかれないことも多く、周囲の無理解やいじめ、子ども本人の自己肯定感・自尊感情の低下、傷つきから、2次障害として、精神疾患、不適応、非行などの状況を呈してはじめて、医療や福祉、司法の現場で気づかれることもあります」――「はじめに」より
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Posted by ブクログ
現在、7人に1人が境界知能域であると言われているが、知的障害・身体障害のように支援が充実していない現実がある。「発達手帳」があれば、軽度知的に至らないまでの知的発達の遅れが見られる方までカバーできる、という主旨の著者のお考えに激しく頷きました。
Posted by ブクログ
境界知能の人々が抱える生きづらさについて理解を深めることができた。特に印象に残ったのは、境界知能の人は知的障害とは異なり、公的な支援の対象にならないことが多いという点である。そのため、場合によっては知的障害のある人以上に支援の網から漏れやすく、社会生活で苦労する可能性があると感じた。一方で、発達障害など別の要因が認められる場合には支援を受けられることもあるため、身近に困っている人がいたら適切な相談先を紹介できるようになりたいと思った。
また、ドイツでは境界知能の人が早い段階から単純作業を中心とした仕事に就けるような仕組みが整備されていることを知り、興味深く感じた。誰もが得意なことを活かして働ける環境を整えることは、本人だけでなく社会全体にとっても重要だと思う。
さらに、境界知能の人は約7人に1人と決して少数ではないことにも驚かされた。しかし、現実的には全員に十分な支援を提供することは予算面から難しい。そのため、支援制度の拡充だけでなく、支援を受けていない人も受け入れられる社会をつくることが必要だと感じた。
本書を通じて、境界知能の人々を単に支援の対象として考えるのではなく、それぞれの能力や特性をどのように活かしていくかを考えることが大切だと学んだ。境界知能は決して特別な問題ではなく、社会全体で向き合うべき身近な課題であると感じた。
Posted by ブクログ
「ケーキの切れない飛行少年達」で知られるようになった境界知能。境界知能も軽度知的障害も一見わかりにくいため理解されないだけでなく、境界知能は支援の枠組みからも外れるため現場では支援が困難となる。近年、軽度知的障害及び境界知能の人たちの事例かが目立つようになったのは、社会的にこの人たちの生きにくい世の中になってきたのだろうか。理解のためには他の発達障害の合併、愛着障害も含めて理解をしなといけないので個別性が強い。また成長過程で臨床像も変わってくるので、継続的な関わりは必要と思う。我が国の支援制度だけでなく諸外国の制度も説明があり、いろいろな意味で入門書としてはわかりやすかった。