あらすじ
流通ジャーナリストとして活躍していた金子哲雄氏。その妻で編集者の金子稚子氏が、死の準備とエンディングノート、夫妻の「引き継ぎ」について語る。金子哲雄氏が、死の準備に積極的に取り組んだことはすでに知られている。葬儀に限らず、生前にさまざまなことを稚子氏に頼んでいる。しかし、エンディングノートは残していない。なぜなら、時間をかけて、妻・稚子氏に十分な引き継ぎをしていたからだ。結果的に稚子氏は、その引き継ぎによって、残された者たちが「悲しみすぎない」生活を送れることを実感する。大切な人を亡くした、厳しい悲しみは決して癒されるものでも、乗り越えるものでもないのかもしれない。しかしこの時、大きな支えになるのが引き継ぎではないか、と考えた。悲しみは悲しみとして抱えたままでも、それはそれとして次に進むために。残す人も残される人も参考にしたい、生と死を冷静に見つめる一冊。
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Posted by ブクログ
不思議な気持ちになった。
死に行く人との感覚を感情をこめて、でも客観的に綴った本。こんな本ってあったんですね。
全部は理解しきれません。やはり夫の死を経験しないとわからないのかもしれない。
金子さんの感覚、わかるところもあるし、難しいなと思うところもある。
こんなにポジティブに死を考えられるお二人はすごいと思います。スピリチュアルペインも伝えながら、死をポジティブに考える。
いくつかピンときた言葉。
・死は「終わり」ではない。死は生も含めた大きな流れの中のひとつの通過点であり、死ぬことと生きる事は同じ。
・「引き継ぎ」:生前からの関係が死後も続く。自分の目の前にきた人と心を開いた関係を築こうとする事。亡くなった人が、一体何を見て、何を思っていたのか。自分の立ち位置を変えて、その人の視点を獲得できた時、たとえ相手が亡くなっていても、新しく引き継ぎをする関係を結ぶ事ができる可能性を感じます。
・死という点、一時にだけ意味を持たせすぎるのはおかしい。
・医療については引き継ぎというよりも、今すぐにでも家族で話し合っておくべき。(延命治療、死にたい場所、献体など)
・死は恐ろしいことばかりではない。
一番ありがとうございますって思った事。
・医療現場がとかく責められやすい環境にある事を、私は今、残念に思います。確定診断後、その際の医師とのやりとりについていかりを覚えた事はありますが、その後、こうした医療者との交流を通して、「医師が悪いわけではない」ということを理解するようになった。
・闘病を通じて私たちが見た素の医療者は、心も感情もある一人の人間であり、1つ1つのケースに傷ついたり悩んだりしていました。しかし、専門家であるがゆえに、自分たちよりも辛い状況に置かれている患者や家族のために、自分の感情はさておき、プロフェッショナルとして対応しているのです。
この本、勉強になったし、癒されました!!