あらすじ
自死遺族の著者が描く、渾身の家族小説。
娘と夫と幸せに暮らす主婦の未来。しかし、彼女にはある悩みがあった。それは近所に暮らす母・美香子との関係だ。未来は幼少期から美香子の過度な期待と愛情に縛られ、複雑な想いを抱いていた。
そんなある日、未来のもとに父から電話が入り、美香子が首を吊り亡くなったと知らされる。自分が冷たくしたせいで、母は死んでしまったのではないか。大きな悲しみと後悔が未来を襲う一方、彼女はなぜか、安堵の念も抱いてしまい――。
大切な人の死と残された家族を襲う深い罪悪感と喪失感。自死遺族の著者が心の傷と向き合い描いた、渾身の家族小説。
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Posted by ブクログ
実母を自死で亡くした著者の、実体験に基づいたフィクション。
いわゆる毒親であった母と共依存関係だった主人公が、実母が自死したという事実を聞き、悲しみと同時に安堵感を覚える。
そして、その安堵感を覚える自分に嫌悪感を抱き、孤立感を感じ、精神的に追い込まれていく。
共依存は時に世代を超えて連鎖していくもの。
主人公自身も、無意識のうちに実娘を追い込んでしまう。
この作品は、その連鎖の流れを、不自然さがないようにストーリーに落とし込んでいて、誰しもが主人公と同じ状況になってしまう可能性があるという怖さを実感させる。
毒親というフレーズは負のイメージが強いが、それだけではなく、温かな愛情も確かにあるのだと思う。
進んで毒親になりたい親なんていない。
この作品は、主人公が実母の死と自分自身を受け入れ、再生に向けて進んでいく過程が丁寧に描かれていた。