【感想・ネタバレ】何が私をこうさせたか 獄中手記のレビュー

あらすじ

関東大震災後,朝鮮人朴烈と共に検束,大逆罪で死刑宣告された金子文子(1903―26).その獄中手記には,無籍者としての生い立ち,身勝手な両親や,植民地朝鮮で祖母らに受けた虐待が率直に綴られる一方,どんなに虐げられても,「私自身を生きる」ことをあきらめなかった一人の女性の姿がある.天皇の名による恩赦を受けず,獄中で縊死.23歳.(解説=山田昭次)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

23歳で自ら縊死したアナーキスト、金子文子の獄中手記。
作者、金子文子の育った、父母による家庭の破壊、極貧、預けられた祖母・叔母から受けた虐待と朝鮮での暮らしという劣悪な環境は、1920年代当時の日本としては、例外的ではなかったかもしれない。
しかし、作者は頭が良かった。
この手記も、ほとんど記憶だけで執筆されたと考えられる。一部補筆復元があったようだ。

(文子が この手記を宅下げして 同志の栗原一男に出版を依頼し、1931年(昭和6) の7月に 春秋社から出版されました。「宅下げ」といっても、栗原一男が 実際に手記を手にしたのは、1926年 (大正15) に 文子が死んでから、だいぶ経ってから らしく、しかも 手記は あちこち 切り取られて ズタズタだったらしい。それを 栗原一男と加藤一夫の二人で 補筆復元し、題名も 彼らが付けました。
『何が私を こうさせたか 』 金子文子著  |  神谷武夫 引用)

学習意欲が高かったにもかかわらず、満足に学校にも通わせてもらえなかった。しかし、本文は読みやすい、難しい内容の部分も、よく噛み砕いてわかりやすい文章になっている。
文章の裏にはずっと慟哭している作者がいるが、表現は抑えられ誇張されていない。

神も、社会主義思想も、作者には自身を託すものではなかった。

以下本文より引用  388ページ
私は今はっきりとわかった。今の世では、苦学なんかして偉い人間になれるはずもないということを。いやそればかりではない。いうところの偉い人間なんてほどくだらないものはないということを。人々から偉いと言われることに、何の値打ちがあろう。私は人のために生きているのではない。私は私自身でなければならぬ。
 私はあまりに多く、他人の奴隷となりすぎてきた。あまりにも多く、男のおもちゃにされてきた。私は私自身を生きていなかった。
 私は私自身の仕事をしなければならぬ。

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ブレイディみかこ著『両手にトカレフ』で知り、読みました。まず、小学校すらまともに通えていない著者が、よくこれだけの自伝を書き上げたものだと、壮絶な執念を感じました。文章力も記憶力も凄まじい。全てが正しい記憶ではないとしても。得意と苦手の幅がすごいのでしょう。我慢強いところと、我慢が足りないところ、その両方で『えっ? そこで…?』と、私には理解できない行動に、イライラさせられることも。また、朝鮮での7年間の様子はあまりにひどくて、途中で読み進められなくなりそうでした。読み終えて、書き残してくれたことに感謝します。

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2022年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んだことのないタイプの人の自伝だが、読めてよかった。生まれる時代が違えば国政を担うような人になったかもしれない。朝鮮の祖母、両親、叔父などから虐げられてきたものの、芯が腐ることなく、前向きに生きる姿は素晴らしい。教師になって好きなことを学びたいと思って上京しても、社会構造を知って学ぶ気を失う。完璧な人間じゃないところも人間くさくていい。
親になる人、教育者にぜひ読んでもらいたい。

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2022年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もっとひどい犯罪をおこすに至るのかと思ったら、苦しい境遇にあってもずっと自分の成長を願う素敵な女性の話だった。朝鮮人の夫との活動についても少しは知りたかった。獄中で亡くなった年齢があまりにも若くいたたまれない。

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2018年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

求婚のところが特に好きだった。
さて、あとは映画を観に行くか。

「基督教の教えるところは果して正しいのであろうか。それはただ、人の心を胡魔化す麻酔剤にすぎないのではなかろうか。人間の誠意や愛が他人に働きかけて、それが人の世界をもっと住みよいものにしない限り、そうした教えは遂に何らかの欺瞞でなくて何であろう。」
『何が私をこうさせたか』(334頁)

「誰だって自分の行為を他に約束すべきではない。自分の行為の主体を、監視人に預けるべきではない。自分の行為の主体は完全に自分自身であることを人間は自覚すべきである。そうすることによってこそ、初めて、人は誰をも偽らぬ、誰にも怯えぬ、真に確乎とした、自律的な、責任のある行為を生むことができるようになるのだ」
『何が私をこうさせたか』金子文子(120頁)

‪「お互いに心の中をそっくりそのまま露骨に話せるようにして下さいな」金子文子‬

「仙人のような、それでいて情熱のある人だ。日本の青年たちよりよほどまじめで人間的だ」と評されたいな。

読んでいるあいだ、不思議と『夫のちんぽが入らない』のこだまさんや、映画『この世界の片隅に』のすずさん、または本人からその生い立ちなどを聞かされている父方の祖母が思い出され、金子文子と重なった。

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2019年03月14日

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