あらすじ
経済格差の拡大、排外主義や権威主義の広がり、極右ポピュリズムの台頭――。西洋で生まれ、二〇世紀に日本を含め世界中に広がった自由民主主義の理念が、大きく揺らいでいる。選挙で代表を選び、法や議会の下、個人の自由や多様性を尊重するこの原理は、はたして普遍的か。リベラリズムとデモクラシーの起源から、世界大戦による破局を経て、新自由主義、代表制民主主義、フェミニズム、ケアの倫理まで。ときに矛盾を孕みながら世界を覆い、いま大きな苦境に陥る思想の系譜を問う。
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Posted by ブクログ
わかりやすく、自由民主主義の歴史と現在を概観している良書である。
自由主義や民主主義の定義は時代によって変遷していることが本書を読めばよくわかる。古代ギリシアを民主主義の起源とする他の概説書とは異なり、中世から成り立ちを遡るのが本書のひとつの特徴であるが、現代に至る熟議民主主義や闘技民主主義についてもぬかりなく触れている。
また、自由主義について、そもそもは近代的な市場秩序の形成から自由主義が誕生し、国家からの自由を標榜した人民の意識の形成によって定義づけられることには納得できる。また、その後の自由主義の意味合いについて、ジョンロールズのリベラリズムや、戦後の新自由主義的な解釈へと広がりを見せていることにもわかりやすく触れられている。
また、リベラリズムへの批判として、サンデルを中心としたコミュニタリアニズムや、フェミニズム、ケアの倫理にまで言及されており、現代的な思想も厚くカバーしているのには驚かされる。
著者は最後に、自由民主主義が欧米を中心とした秩序の押し付けであるのかについて明言を避けながらも、不均衡な秩序を形成してきた負の歴史を乗り越えることによって、自由民主主義が普遍的な地位を獲得できる可能性について言及している。
とりいそぎ自由主義や民主主義の歴史や論点整理をする1冊目として、強くお勧めできる本である。
Posted by ブクログ
国際社会における普遍の原理として認識される「自由民主主義(リベラル・デモクラシー)」とは果たしてどういうものなのか。その中身について、自由民主主義の誕生前々夜くらいから現代の最新の議論や危機意識についてじっくり書かれた一冊
自由主義と民主主義それぞれの発生を主権の成立と共和政都市に見出した人民主権の原則におき、この二つが「市民公共圏」の成立と「公論」の発展により結合し自由民主主義が誕生した。しかしこの自由民主主義は不十分で、市場原理主義的な自由主義への批判や衆愚政治を危惧した人々による警告が飛ばされるも修正は叶わず、大戦をきっかけに全体主義に陥ることとなる
しかしその後自由主義と民主主義が双方共に「妥協」しあい、完全雇用を導入した福祉国家体制が成立し国際社会のデファクトスタンダードとなる
経済発展が滞るとこの体制は立ち行かなくなり、その結果再びこの原理は自由主義・民主主義の双方から批判されることになる
果たして自由民主主義に未来はあるのか?
トクヴィルの凄さとロールズの偉さが分かる本
古典的自由主義と(ニュー・)リベラリズムと新自由主義(ネオリベラリズム)という、名前の似てる概念の区別も付くようになる良書
その他様々良い内容があるし、何度か著者自身によりまとめられている箇所があり、そこを読むことによってまた新たな発見があるなどずっと楽しませてくれる本