【感想・ネタバレ】優しいおとなのレビュー

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Posted by ブクログ 2018年01月22日

わたしは?どっちつかずなおとな。
貧困、逃避、自棄、愛着、無関心、優しいおとな、優しくないおとな、どっちつかずなおとな、登場人物に大人は少ないけど多分みんな優しいおとな。
最後の救いがあって助かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年05月27日

福祉システムが破綻した日本が舞台。スラム化したかつてのシブヤの野宿者、イオンは闇を根城にする若者たちと出会い、アンダーグラウンドに足を踏み入れる。NGO「ストリートチルドレンを守る会」。女性ホームレス集団「マムズ」。彼の「優しいおとな」はどこにいるのか…?

「平等」とは?「優しさ」とは?「闇」と「...続きを読む光」、「絶望」と「希望」。人によっては「闇」が「希望」で「平等」となっている世界。
今の日本がこの作品の世界に一歩ずつ近づいているように思えて、かなり怖いです。

真実を知るためにどんどんイオンが悪い方に悪い方に転がっていくのを見るのが辛かったです。鉄と再会できたのはよかったけど、とにかくラストが悲しすぎて…
子どもが子どもでいられない世界。
イオンにとっては幸せな最後だったろうか?

アンダーグラウンドのカリスマ的存在の錫が歌う歌が印象的です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年06月05日

自分にとって桐野夏生作品を読むことは、一種の自傷行為なのだと最近自覚するようになった。でもこの作品は自傷にはあたらない優しさがあった。

舞台は福祉が崩壊した近未来日本のシブヤ。近未来といいながら、主人公イオンのまわりの地上風景はすでにこの国が現実に抱えている問題そのものだった。企業による炊き出しや...続きを読む公園村、女性ホームレス、NPO支援団体。見たことあるものばかりだ。そうすると、この物語の地下風景も実在するのではないかと本気で思えてくる。

特にリアリティを感じたのが、夜光部隊が暮らしていた地下までサブとイオンが進む洞道。自分がふだん暮らしている東京アンダーグラウンドは、きっとこのままに違いない。私たちの目に見える綺麗ぶった世界は、私たちが垂れ流しフタをしたドロドロの上に成り立っている。

イオンはなんだかんだで出会いに恵まれていた。作品を振り返るとイオンのまわりの大人は「優しいおとな」ばかりで、だんだんとイオンの閉ざされた心が溶解していくさまが心地よくもあり、桐野作品ならもっと深く傷つけてほしくもあった。

終盤、イオンの過去が明かされるモガミの手紙の内容が突拍子もなく、これまでの近未来SFの世界観が一気に違うものに変わってしまった。イオンのルーツにちょっと落胆したが、参考文献一覧を見て納得。このような子どももおとなもきっと現実に存在するのだと思うと不気味だ。この不気味さを残すところに桐野夏生らしさがあった。

ラストはこれでよかった。涙が出た。
子どもが大人に求める愛情と、大人が子どもとつくりたい世界は必ずしも一致しない。子どもは無条件に大人へ愛情を求めるが、大人はどんな愛情のかけ方が正しいのだろうと考えずにはいられない。

追記
ディケンズの『オリバーツイスト』にインスパイアされている気がした。

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Posted by ブクログ 2019年04月28日

荒廃し、スラム化した日本の繁華街シブヤでストリートチルドレンとして生きる少年イオン。
親の記憶が無い彼は人への「愛情」を知らず、自分を助けてくれる唯一の大人モガミにも冷たくしてしまう。
イオンはかつて一緒に育った仲間を探すため、地下の犯罪者集団に飛び込んでいくが、そこも安住の地では無かった――。

...続きを読む序盤は近未来のサバイバル小説という様相で、物語についていけるか少し不安でした。
が、誰のことも信用できないような生活を送ってきた浮浪少年の思考回路や、彼の目から紡がれる路上生活の苛烈さが妙にリアルで、すっと物語に入り込めました。
読者に違和感を抱かせずに世界観を構築する作者のテクニックは、いつもながら凄いです。

そして中盤から、イオンがアンダーグラウンド世界に潜っていく展開の先が読めず、この話はどうなるんだろうと嫌な予感がしながら読み…。
イオンが愛情を求めるのと同じくらい物語が加速していくドライブ感が凄まじく、唐突とも言えるラストの情景に辿り着くまで、一気に読みました。

全体的な感想は…悲しい話でした。

優しさや愛情というものの正体についての言及が鋭く、考えさせられました。

特定の一人への愛着(愛情)は、エゴイズムなのか。
愛情が深ければ深いほど、どうでもいい他人を傷付ける凶器になったりもする。
しかし、特定の愛情を受けなかった子どもは、その後の人生にそれが大きな影響を及ぼしてしまう…。

親を知らないイオンにとっての大人とは、優しいか優しくないか、どっちつかずかの三種類。
独りきりの時はそれゆえに強かった彼は、他人の気持ちに触れることでを自身の弱さを知る。
悲しくもあたたかいラストは、ひどく心に残ります。

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Posted by ブクログ 2014年01月12日

数年前に、読売新聞の土曜版に連載されていたもの。

エピローグがよかったかな。
(乙一の『失はれる音楽』みたいだったけど)

イオンを軸に、関わった人々が結びついているようだった。

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