あらすじ
■「人事」として「心の動き」にどう向き合う?
・どうして採用してすぐにやめてしまったのだろう……。
・異動や配属はどう決定して伝えたらいいだろう……。
・働く人は、やる気・やりがいをもっているだろうか……。
こうした人事の悩みには、つねに人や組織の「心の動き」が関係しています。
働く人が感じていること、組織で暗黙に共有されているルールに対して、どう考えてどう振る舞うか、心理学の知見をもとに紹介します。
■人事の実務をみてきた臨床心理士が心理学の役立つ知識を伝える
採用、配置、定着、活躍、目標管理とマネジメント、メンタルヘルスケアの実務に沿って心理学がどのように役立つのかをお伝えしています。
人事の仕事を支援してきた臨床心理士だからこそ語れる、実務で役立つ具体的な打ち手と、目の前の問題への対処法がわかる1冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
・『カウンセリングとは何か』と通ずるが、「科学の知」「臨床の知」の区分けが、だいじな点だなと思った。
・「4つの心構え」大変だいじな視点と感じた。特に、性急に結論づけるのではなく、「仮説」を「仮説」のままで扱うこと、むずかしいがとてもそれがポイントに感じる。
Posted by ブクログ
▼オンボーディング
定着においては、知識面と感情面をフォローしつつ、ヘルプが出せる仕組みや環境を整備する。人は安心できる環境やリソースがあって初めてチャレンジができるようになる。①②③が必要なオンボーディング行動である。
①インフォーム行動
新入社員に適切な情報を提供すること、およびそのためのルートや体制が整っていることを指す。単に情報(ナレッジ)が整理されているというだけでなく、それらが「適切に提供される」という受動的な体制と、「適切にアクセスできる」という能動的な仕組みの両方が含まれる。 受動的な体制では、いわゆる初期研修やオリエンテーションといった全社的な初期トレーニングの側面と、配属先部門での職務に関する具体的な資料提供や、上司・同僚からの伝達(コミュニケーション)の側面がある。 能動的な仕組みのほうは、社内ナレッジの閲覧できるコンテンツや、社内の各種設備の在処が示されたマップ、困ったときに質問に行ける窓口やハブ人材の紹介などがある。
②ウェルカム行動
新入社員を歓迎していることを表現するさまざまな行動。 大きくはメッセージの発信と、顔合わせ・交流機会の提供、という2つの枠組みがある。メッセージの発信は、社長や役員クラスからのメッセージをはじめとして、人事、各所属部門の責任者、上司や同僚と、徐々に仕事に関連して距離の近い人とコミュニケーションする機会に移行する。 だれがどの立場からどのようなメッセージを伝えるかによって、新入社員の会社への理解が深まっていく。同時に、近い関係にある同期同士や、配属先のメンバーとの顔合わせ、紹介、ランチなどのコミュニケーション機会の提供も重要。 「一度会話したことがあるか」がその後の声掛けのハードルを大きく下げる。 加えて特に業務上密に関わるメンバー同士では、質問しても大丈夫という事前認識をもたせることで、よりスムーズな情報提供が可能になる。
③ガイド行動
困ったときに頼れる場所をつくっておくことです。 相談窓口、メンター制度、OJT担当者、同期バディ、入社後定期面談など。ポイント: 「なにか違うな」と思った時に気軽に相談できる場所は、安心やチャレンジに対する安全弁として機能する。
▼リアリティ・ショック
新しい環境に入った個人が、多かれ少なかれ抱く「想定していた期待と、現実のギャップ」に直面すること。組織心理学者のシャインの定義では、「個人が仕事に就く際の期待・現実感のギャップ」とされている。このショックにより「思っていたのと違う」という体験がネガティブに変化すると、能力不足という考えに過度に注目したり、会社への愛着を失ったりして、早期離職や滞留に陥る。1つの現象を複眼で捉え直し、前向きな意味づけができるようにフォローすることがポイント。
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※ショックを経験したあとに在職し続ける人と離職する人には、その事象に対する「意味づけ(リフレーミング)」に違いがある。この意味づけを、現場と人事でどうにかすることが肝要。
視点|在職する傾向|離職する傾向
自己完結性|高い。自分でなんとかなるはずだ|低い:自分ではどうしようもない
正当化可能性|高い。これは必要な試練なんだ|低い:理不尽でありえないことだ
展望への影響|連鎖なにか将来につながるはずだ|遮断:失敗した、お先真っ暗だ
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「情報と歓迎の仕組みづくり(オンボーディング)」と、個人の「ギャップへの意味づけ(リフレーミング)」の両面から定着支援を考えるべき。
▼現場の文脈を大事にする。
事実は、客観的なものだけではない。1人ひとりの感じ方・考え方や、人間同士の関係性に根ざした感覚的・経験的な暗黙知こそが、人事が扱うべき重要な対象。環境や周囲との関係性、組織全体の雰囲気や業務の構造も絡んだ複雑な集合体が組織である。客観的なものだけではない暗黙的な要素や、物語的(ストーリー的)な要素を理解し言語化することは必要な活動。
人は客観的な事実や論理的な正論だけで動くわけではない。そこに関わる1人ひとりの「人生」があるからです。頭で考えればわかることも、感情や心が納得しない、身体や手足が前向きに動かない、といったことは現実にある。それらの事実を無視してしまうと、論理的にはうまくいくはずのことも、実際にはうまくいかず、さまざまな見えない対立や葛藤に巻き込まれてしまう。コンテクストの影響を考慮せよ。
▼性格検査はコミュニケーションツール
性格検査で性格や人となりを完全にわかった気になることは避けるべき。性格は「さまざまな角度から見る」作業を通して、なんとなく目の前にあるものの全体像が見えてきて、直接見ることはできないため仮説にとどまる類のもの。しかも性格は状況によって微妙に揺れ動く。ビジネス文脈で使う性格検査を「コミュニケーションツール」と捉えると、価値がわかりやすくなる。