あらすじ
ハン・ガン推薦。最注目の英国作家が描く、喪失、回復、奇妙なカラス
母を突然亡くした幼い兄弟と、その父親。喪失の重みが沁みこみ始めたロンドンのフラットに、奇妙な喋るカラスがやってきてこう言う――おまえがおれをいらなくなるまでここにいる。ハン・ガンが「いびつなほどのぬくもりと美しさを秘めた本」と絶賛した傑作
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Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
母を突然亡くした幼い兄弟と、その父親。喪失の重みが沁みこみ始めたロンドンのフラットに、奇妙な喋るカラスがやってきてこう言う――おまえがおれをいらなくなるまでここにいる。ハン・ガンが「いびつなほどのぬくもりと美しさを秘めた本」と絶賛した傑作
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短い章が積み重なって構成された小説になっている。1章が2~3頁、長くても8頁前後、中には1章に数行しか記述されていない章もある。各章は、妻、あるいは母親を亡くした3人の男(父、兄、弟)、そしてそこに突然現れた一羽のカラス。この四者によるモノローグで構成されている。
起承転結のはっきりしたストーリーがあるわけでもなく、章によっては詩のようなイメージ。なにをどう伝えたいのか、その方向性はあまりはっきりとは見えてこないように思える。それなのに悲しみや喪失感、それぞれに対する愛情などがひしひしと伝わってくる。最後のシーンなどは本当に美しく、胸にジーンとくる。
テッド・ヒューズという実在したイングランドの詩人、そして彼の詩がひとつの大きな柱になっているので、彼についてや彼の詩作を知っていれば、もっと理解が深まったかもしれない。
それと、できれば英語の原文も読んでみたいと思った。というのも、翻訳された本書には、漢字を使う箇所と、あえて平仮名に開く箇所がいくつかある。例えばラストのシーンでは「愛してる愛してる愛してる」と「あいしてるあいしてるあいしてる」という表現が隣り合って現れる。また、平仮名と片仮名を意図的に使い分けている箇所もある。これらは日本語特有の手法であって、読者に強い効果をもたらしているように思う。そんな手法が原文である英語のどのあたりを対象としているのかが興味深い。
ともあれ、ちょっと実験的な作品のようにも思えるけれど、かなり感動的な読書体験だった。