あらすじ
「万葉集入門」として本書の右に出るものはいまだない。万葉の精神をふまえて自己の歌風を確立した一代の歌人たる著者が、約四百の秀歌を選び、簡潔にしてゆきとどいた解説を付して鑑賞の手引きを編んだ。雄渾おおらかな古代の日本人の心にふれることにより、われわれは失われたものを取り戻す。
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Posted by ブクログ
30年前、高校生の頃に買った本。当時は分からなかった万葉集の魅力がこの歳になりようやくわかるようになった。
全巻の中から秀歌を選んでおり万葉集初心者向けだろう。同じ創作者、歌人ならではの評が素晴らしい。
下巻では東歌と防人歌が自分には合うように思えた。
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下巻に多く収められている、作者不詳の歌や東歌。
これがしみじみとよかった。
特に東歌、おそらく口伝で伝わっていったもの独特の雰囲気があり、また身近に感じられる。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
万葉集はわれわれ誰もが読むべき宝典であるが、巻二十まで読破しようというのは並大抵のことではない。
歌壇の第一人者が、四千五百有余のなかから、すぐれた歌を選び、誰もが理解でき、味わえるように平易簡潔な解説を付した本書は、万人のための「万葉集入門」であると同時に、「万葉集精髄」を実現したことにもなる。
[ 目次 ]
いはばしる・たるみのうへの(志貴皇子)
かむなびの・いはせのもりの(鏡王女)
うちなびく・はるきたるらし(尾張連)
はるのぬに・すみれつみにと(山部赤人)
くだらぬの・はぎのふるえに(山部赤人)
かはづなく・かむなびがはに(厚見王)
よのつねに・きくはくるしき(大伴坂上郎女)
なみのうへゆ・みゆるこじまの(笠金村)
かむなびの・いはせのもりの(志貴皇子)
なつやまの・こぬれのしじに(大伴家持)〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
高校生の頃は、和歌といえば新古今。
本歌取りの、たった一語で元歌を象徴する鮮やかさが魔法のようで、惹きつけられた。
一方で万葉集は、なかなかとっつきにくい歌集だった。
万葉仮名からして、ハードルになる。
その上、作者にしても、当時の時代背景にしてもわからなことが多すぎる。
というわけで、その後長いこと避け続けてきた。
それがどういう風の吹き回しか、本書を手に取った。
しかもたまたま手に入った下巻だけを。
読んでみて、どっぷりはまった。
旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子羽ぐぐめ天の鶴群
遣唐使に随行して難波を発つ子を見送って作った母の歌だという。
広い世界と細やかな愛情の取り合わせにはっとする。
潮満てば水泡に浮かぶ細砂(まさご)にも吾は生けるか恋ひは死なずて
波に洗われ、さらさら動く磯の真砂のイメージは目に見えるようで、鮮やかだ。
恋い死にしないで生きている自分に驚いているかのような雰囲気が面白い。
恋の歌といえば、人麻呂のこんな歌はちょっとどきっとする。
朱らひく膚に触れずて寐たれども心を異しく我が念はなくに
思いを表現するのにいろいろなもの、ことに寄せるのだが、そこに描かれる場面や風景が新鮮だった。
ことばも面白い。
響(とよ)む。御食(みけ)むかふ。息衝かし。
髪を束ね結い上げるという意味の「たく(いとへんに官)」ということばも初めて知った。
「ほどろに」「繁(しじ)に」「とををに」。
「須臾(しまし)くも」「否をかも」。
何か新しい友達ができたような気がしてわくわくする。