あらすじ
米民主党内部からの告発。かつて「庶民の味方」だった党は、いつから「テックエリートと富裕層」のための党に変貌したのか。リベラル派の重鎮が、身内の病理を徹底解剖する全米話題の予言書。
かつてフランクリン・ルーズベルトの下、「忘れられた人々」の希望であった民主党。
しかし今、その中心にいるのは労働者ではない。
大学教育を受けた都市部のエリート、巨大IT企業、そして過激な活動家たちだ。
彼らが主導する「影の政党」は、アイデンティティ・ポリティクスに没頭し、インフレや生活苦に喘ぐ庶民を「嘆かわしい人々」と見下している――。
民主党の戦略的参謀であった著者たちが、愛する党の迷走と没落のメカニズムを赤裸々に描く。アメリカの分断とトランプ現象の「真因」を知るための決定版であり、現代アメリカ政治分析の最重要文献。
「ポリティカル・コレクトネス」が国を分断し、支持者を追いやる。
民主党を蝕む〈5つの急進主義〉とは?
【人種】 BLM運動と過激化する「構造的人種差別」論
【ジェンダー】 「女性」という言葉さえ使えない言語統制
【移民】 国境管理の放棄と「不法移民」擁護のパラドックス
【環境】 労働者の雇用を奪う、非現実的な気候変動対策
【経済】 シリコンバレーやウォール街との癒着が生んだ格差
日本を含む先進各国で右派ポピュリズム政党が伸長し、リベラル勢力が敗れる理由がよくわかるインサイドレポート
「21世紀で最も影響力のある政治書のひとつ」(ニューヨーク・タイムズ紙)。
アメリカ民主党がいかに党の核となる原則を見失い、その政治的未来を危うくしているかを明らかにする。
アメリカ民主党、ならびに先進各国のリベラル勢力にとって必要不可欠な警鐘の書。
ウォール・ストリート・ジャーナルベスト政治書(2023年)!
何十年もの間、アメリカの政治は民主党と共和党の対立に悩まされ、勝利は必然的に敗北を招き、その逆もまた然りであった。両党は、アメリカの有権者の中心にいる人々を見失い、二極化と麻痺を引き起こしている。著者のジョン・B・ジュディスとルイ・テイシェイラは、本書で、識者も政治学者も見逃してきた、現在のアメリカの政治状況を形成する地殻変動を明らかにする。
かつては小さな町や大都市、産業労働者階級や新移民のものであったアメリカ民主党は、こうした有権者の多くを見捨て、積極的に疎外さえしている。ジュディスとテイシェイラは、アメリカ政治の変容を明らかにし、アメリカ民主党がどこで道を踏み外したのか、どうすれば今後の政治的災難を避けることができるのかについて、鋭く分析する。
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Posted by ブクログ
最近イランとの開戦を見ても分かる通り、アメリカのトランプ大統領の行動は一般人だけでなく、いわゆる専門家と呼ばれる人間にとっても予測不可能のようだ。そのトランプ大統領はアメリカでは共和党に属している(ことになっている)。日本のように議院内閣制ではないアメリカでは、民主党の候補と共和党の候補が決定され、最終的に大統領選挙によって大統領が決まる。言い換えれば、トランプは民主党の候補を打ち破って大統領になったわけだ。
もしトランプが指示を受けなければ大統領になることもなかったわけだし、もっと極論すれば民主党の候補が十分に強ければトランプの再選を阻止することができたわけだ。つまりトランプ大統領誕生の責任の一端は民主党にあったと言える。
本書はそのトランプの再選がなる前ちょうど1回目の大統領任期が終わった後の民主党バイデン政権時代に書かれた一冊だ。もちろん、著者たちの危機感はトランプといった大統領が生まれたことにあったわけだが、彼らが描くものとしてはそこだけではなく、なぜ長期的に民主党が凋落していったのかということを解き明かすことにある。
そして本書に書いてある内容は、自分のようにある程度リベラルであると認識している人間にとってはまさに日常を感じていたことであり、民主党が極端な政策を取ることになった理由と、その結果が具体的な数値をもって明らかにされている。
例えば本書で取り上げられる民主党の政策の中の一つにトランスジェンダー政策がある。本書によれば、トランスジェンダーの人権を守るべきだというその思想に一定程度賛成する人間は多いが、一方でその中の多くの人がトランス女性がスポーツで女性の部門に参加することは望まないとある。
この感覚は、スポーツをある程度やった人間であれば誰しもが共有する感覚だろう。そのように部門が分かれているのは何も性的な差別ではなく、単純にスポーツを行うにあたっての身体的な違いが明らかであるからだ。ところが民主党は、その生物学的な性とジェンダーを意図的に混同させて、極端な政策を取るようになっていると、著者は批判をする。
他にも、穏健な人であれば多くの人が支持をしたような政策であっても極端に振れてしまったが故に、一般の人からの支持を失い、その結果が共和党に流れたということが明らかになっていく。本書が書かれたタイミングでは、トランプ大統領はまだ再選されていなかったので、結果として本書が指摘した事項は解決されないまま民主党内に残ったということになる。
また、本書が指摘していることはアメリカだけでなく多くの国で、いわゆる左派に当てはまること部分が多い。いわゆる政治学的な本ではないが、ジャーナリスティックな観点から、左派(本書では右派も同じように極端であるとは書かれている)が極端な意見を採用し、その結果としてどのような投票行動が導き出されるかということを明らかにしている非常に良い本だったと思う。
Posted by ブクログ
米民主党の中の人が書いた、民主党の問題点の洗い出しの本。
民主党が敗北したのは、経済政策的には新自由主義に舵を切り、庶民(労働者を主要な層とする)を見捨て、文化闘争を政治の場に持ち込み争点/政策としたうえで、過激な主張を繰り広げ、多くの米国人を置き去りにしたためだと喝破している。民主党の欠点を民主党の中から暴いているため、多くの米国人=一般的な米国人が民主党を指示しなくなった解説に、説得力がある。
さらには、訳者のあとがき通り、我々日本人は、米国のそのような政治状況についてあまりにも無知であり、お花畑すぎる認識であることを痛感させられる。