あらすじ
特撮と怪獣が世界を救うと思っていた。
還暦すぎてもそう思っている。
永遠に小学生でもいいじゃないか。
くだらない夢こそ、人を動かす燃料だった。
8ミリカメラひとつで“世界”を撮ろうとしたあの頃と変わらず、今でも、馬鹿みたいに真剣だ。
“バカ映画の巨匠”河崎実監督がモデルの青春群像の物語。
1977年、明治大学工学部に通う18歳の神田杉千代は、坂道の多い生田キャンパスで旧友・辛崎渡(からさき・わたる)と再会する。辛崎は農学部で、かつての“怪獣好き”仲間。彼は特撮怪獣映画の制作を夢見ており、杉千代を誘う。貧しい家庭事情を抱える杉千代だが、再び「子供時代」を取り戻すようにスタッフに参加。仲間たちと段ボールの街を作り、豆腐の怪獣が暴れる8ミリ映画を撮る。主人公のモデルは、日本バカ映画の巨匠、河崎実。永遠に小学校を卒業できない「小学61年生」としての彼を、直木賞作家である朱川湊人が小説化!!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
夢に向かって突っ走るチャメ。還暦を過ぎようが、彼は熱くなれる大切な宝物を、親友スギッチョと共有し続けている。まさに一生青春の模範である。羨ましい。『特撮』と『怪獣』が軸のマニアックな物語だが、あれよあれよという間に惹き込まれた。
Posted by ブクログ
この『小学61年生』は、「永遠に小学校を卒業できない男」である18歳の青年、神田杉千代を主人公にした小説で、他に杉千代の大親友である辛崎渡という特撮好きの青年が登場するが、このモデルになっているのは特撮やコメディ色の強い作品で知られるB級映画監督の河崎実さんのようだ。
二人は小学校時代の同級生・幼なじみで、ともに大の怪獣好きだった仲間だ。小説も彼の出身である明治大学農学部が最初の舞台となっている。(生田校舎に通っている)なお、時代背景は1977年〜1980年頃だ。
主人公たちは特撮ヒーローや怪獣映画を自主制作するいわゆるオタクの大学生。携帯スマホなど無い時代、同じような趣味の仲間たちとその生活を楽しんでいる。
その後、二人は将来に向けて歩み出す岐路に立つが、同じ道を進むわけではなく、辛崎渡は映画・特撮の世界へ突き進み、杉千代は会社員として普通の生活を送る。しかし杉千代は渡を見捨てるのではなく、距離を置きながらもその夢をずっと見守る。夢を仕事にした人と、夢とは別の人生を選んだ人――その両方の人生を肯定する物語でした。
後半では実際の河崎監督の作品や、俳優が登場するため、どこからどこまでがフィクションで、何が事実なのか混沌としてしまったのが、個人的には不満だなあ。
最後に2人が還暦過ぎとなり、自分らがいまだに小学校を卒業できていない小学61年生だなあと笑い合うシーンがあるが、それが印象的だった。
そのほか、僕も自分の青春時代と時間軸がかぶっているから、話題の一つひとつが面白かった。例えばキャンディーズの解散、オレは男だ、エイトマン、大巨獣ガッパ、ケーキ屋ケンちゃん、宇宙戦艦ヤマト、ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長…たぶんウルトラマンなど特撮ものなどに興味を持っている人、幼稚な一面を持ち合わせている人には、めちゃくちゃ刺さり、楽しさも倍増するのだろうな。
逆に何の興味もない人が読んだら、全然面白くないのだろうな…感想を聞いてみたい気もする。
Posted by ブクログ
映像化もされた『花まんま』とは全く違って実在の人とモデルにしたノンフィクション的なお話でした。
何事も「好きこそものの上手なれ」なのですが、それを「継続は力なり」で突き進んでいけるのが素晴らしいし、あるいみ、羨ましいですね。
朱川さん、ノスタルジックホラーだけでなく、いろいろ書ける人なんだなあ。