あらすじ
なぜ、日本はこれほどグローバル化の波に乗り遅れてしまったのか――2007年、25年ぶりに帰日した著者が強烈に感じたのは、グローバル化で大変革した世界に、余りにも日本人が無関心だったことでした。このままでは日本だけ取り残されてしまう……。本書は、「日本を真にグローバル化し、世界で勝てる国にしたい」と願う著者が、多くのフォーチュントップ企業から認められた、最短でグローバル人材が育つ「21世紀型」学習法を解説するものです。多様な文化、歴史的背景を持った人材とビジネスを行い、成果を出す。そんな「世界で戦える人材」になるには――グローバルマインドを心に設定<文化の世界地図>で、世界を俯瞰日本人に欠けている倫理とリーガルマインドを強化日本のDNAを磨く21世紀型の学習方法に切り替える――ことが必要なのです。本書は、あなたを世界で戦える「真のグローバル人材」に導きます。
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Posted by ブクログ
世界で戦う人材の条件っていったい・・・?と思って購入。
著者は、文化的な側面から世界の国々・人々を理解することから、グローバル化は始められると説いていた。
ポイントとしては、「世界を俯瞰的に見る」、「日本人であることを深く理解する」、「学習方法を進化させる」ってところでした。
確かに、他国の人と仕事をしたとき、相手のことを理解してコミュニケーションすることは重要で、思考や反応を理解するためには、文化的背景への理解も必要だと思う。こういったことを整理してビジネスに応用できるようにガイドしている著者は凄い。
ぜひ、学びたい。
Posted by ブクログ
日本人は「グローバリゼーションの意味を勘違いしている」という問題意識が、この著書の出発点となっている。例えば「グローバル・ビジネスを行う能力は、ルールの軸に沿った理解(グローバル・スタンダードなど)と、多様性の軸に沿った理解(現実の市場)を同時に推進し、全体最適の形でスピーディに成果を出す能力である」(p.92)と著者は定義する。つまり「始めに英語力、コミュニケーション能力ありき」ではないという考え方で、尤もである。
ただ、グローバル・スタンダードといっても、どこの国が「スタンダード」ということはない。どこかにモデルと求めるという追従型の発想をやめることも、新しい時代の重要な条件である。しかし、世界のグローバル競争力の上位国で、グローバル時代の世界ルールの一元化に最も強い影響力を持ってきたのは、「リーガルコード」(法律が社会価値の基盤)に価値の中心を置く国々である。「リーガルコードの源泉はプロテスタンティズムとそこに付随する倫理性にある」(p.128)という。つまり、法とその根底にある倫理の尊重が大切という訳だ。昨今よく問題にされる透明性、情報公開、説明責任・・・。なるほど、考えてみるとこれらはすべて公正なルールが全ての人に等しく適用されるために必要な要素なのだ。
一方日本は、ビジネス上の価値の中心を「人間関係」におく「モラルコード」(徳を身につけ良い人間関係を構築することが社会価値の基盤)の国に分類される。「リーガルコードとモラルコードはすべてが真逆の反世界」(p.135)なので、日本では、グローバル人材の意識的な養成が不可欠ということになろう。ただ、「リーガルコード」が絶対的に望ましいという訳ではない。大事な点は、法と倫理の尊重だけでなく、様々な民族・国の人たちの価値の重点の置き方を理解し、尊重するという度量を併せ持つ必要があるということだ。
このような観点から、世界を俯瞰するための視点として、全世界の人々が価値の中心をどこに置いているか、立ち位置の違いを認識するために作成された「文化の世界地図」や国別「カルチュラル・モティベータ―」「カルチュラル・ディモティベータ―」は、実に面白い。ビジネスだけでなく、旅行の際にも役立つことは間違いない。
いずれにしても、グローバル人材として重要な点は、日本人のDNAを大事にしながら、前述のように世界地域ごとに特有の価値観を共有するという二つの軸を持つことである。日本人のDNAがグローバル人材として有益な点は多いのだ。英語力、コミュ二ケーション能力は、まずこのような中身が整ってこそ問われる能力なのだろう。