あらすじ
釣り人、旅好き、飲兵衛のみなさんに捧げる、逗子で20年間地魚料理店『魚屋』(うおや)を切り盛りしていた著者による食エッセイ。地元漁師町はじめ、北は北海道、南は九州・沖縄まで漁師町を訪ね、その地に上がる魚を地元漁師と同じ食べ方で味わうのはもちろんのこと、ご当地でさえなかなか食卓に上らない下魚までさばいて堪能。魚への、漁師たちへの愛があるからこそ語れる、食欲そそる魚の話が64話。
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Posted by ブクログ
これは面白い本!!
この本との出会いは、月刊ダイバーという雑誌のプレゼントだったが、思わぬところで、良い本に巡り会うものである!
本書は、春夏秋冬それぞれに旬を迎える魚を、それぞれにつき、著書のエピソードを交え、捕まえ方や美味しい食べ方を紹介している。
著者の西潟さんの魚と、それを釣る漁師への思い入れ、愛情を感じた一冊だった。
一匹一匹の魚に物語があり、その一つ一つに味があり大変興味深い。
魚の描写も秀逸である。以下は秋の魚、ハマフエフキの描写。
「内臓を三枚に下ろしているころから、予感はあった。しっかりとした白身を開いていると、包丁が白身に吸いつくように重くなる。ねっとりとした感触は脂でがなく、身のきめの細かさからくるものだ。皮を引いたときの、解き放たれたような香りも爽やかだった。刺身は見つめるだけで、旨さが伝わってきた。」(p.149)
読んでいるだけで、五感が刺激されるようだ。
読み終わったあと、そのまま海にでも行きたくなった。
Posted by ブクログ
肩のこらない、魚をテーマにしたエッセイ本。神奈川県逗子市で「魚屋」という地元魚介類を扱う店を営んでいたご主人が、約60の種類の魚について、主に如何にして食したかの経験談を語る。それぞれのエピソードから、著者が魚に対する鋭い味覚を有していることが分かるが、ここまで細かく味が分かるというのはすごいなと思う。釣りも好きだし、スキューバダイビングもするので、ほとんどの魚にはなじみがあるが、食べたことがない、あるいはそもそも食べたりするものだと想像していなかった魚もたくさん登場するので、面白かった。タイトルは意味深だが、おしつけがましい教訓や人生論などは一切なく、著者の語る、それぞれの魚がいかに旨いかの愉悦の体験を脳内に再現しながらさらりと読み終えた。