【感想・ネタバレ】ゼロから創らない戦略 イノベーションを駆動する「価値移転」の法則のレビュー

あらすじ

■楠木建氏 推薦

「日の下に新しきものなし――『価値移転』のコンセプトは戦略構想の革新を鋭くとらえている」

発明でもなければ、単なる模倣でもない、1→10とも異なる。
優れたビジネスに隠された仕組みを、ベンチャーキャピタルの最前線で活躍する著者が体系化。ビジネスパーソンの日頃の実践に役立てる!

◆資本主義的な成功に隠れた、極めてシンプルかつ冷徹な原理
イノベーションは、社会課題を解決したいという志、斬新な発想力や技術力、強力なリーダーシップといった「創造」の賜だと信じられているが、価値創造や社会課題に向き合うビジネスほど資本主義的に評価されにくい。
一方で、GAFAM、エヌビディア、Uber、アクセンチュア、LVMHといった躍進を遂げる巨大事業を分析すると、そこには共通して「価値移転」という仕組みが埋め込まれている。実際、タイミーはスキマ時間、フェイスブックはソーシャルグラフ、マイクロソフトはライセンス、エヌビディアは研究の成果を巧妙に移転している。

◆「どこから、何をもってくるか」見極めることで勝敗が決まる
価値移転とは発明、模倣、スケーリングといった単純なフレームではない。あるエコシステムで低く評価されているリソースを、別の高く評価されるエコシステムに移すことで、利潤を創出し続ける仕組みのことだ。移転の対象は、物理的なリソースに限られず、労働力、ネットワーク、データ、知財なども含まれている。価値移転の基本的な考え方、多様な事例を通じた分析、活用方法を本書で紹介する。

【目次】
第1部 イノベーションにおける「ゼロイチ」信仰の罠
第1章 テクノロジーとマーケットの「創造の罠」
第2章 「仕入れ」の視点で、事業を捉えなおす
第3章 価値移転を、事業に埋め込む

第2部 巨大事業に隠れた6つの型
第4章 高給取りを追わず、埋もれた人材を囲う
第5章 新しくつなげずに、今ある人間関係を動かす
第6章 一等地に陣取り、流れ込む人をさばく
第7章 新しくつくらず、眠るモノを動かす
第8章 創作に固執せず、ありもの知財で新たな価値を生む
第9章 データは買わずに、集めるもの

第3部 価値移転の「ジレンマ」と「フロンティア」
第10章 「限界」と「原罪」を理解する
第11章 次のイノベーションはどこから生まれるのか
第12章 エッセンスを振り返る

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Posted by ブクログ

ネタバレ

著者はグロービス・キャピタル・パートナーズの野本遼平氏(慶應→東大院→2012年司法試験合格→2015年KDDI→2019GCP)。

感想。素晴らしい。久しぶりにときめいた。

備忘録。
・新しいマーケット創造の罠。これは人間の欲求そのものをゼロから作り出そうとするものに等しく、成功する可能性が低いパターン。

・人間の欲求を用意したリソースで満たす。このリソースを安く手に入れて、高く評価されるようにして売る。

・「2つの異なるエコシステムにおける価値体系の違いを利用し、特定のリソースを仲介することで利潤を創出する営み」。これをこの本で「価値移転」と呼ぶ。

・例えば、ゴールドラッシュの時のツルハシ。

・例えば、リクルートのリボンモデル。個人ユーザーと企業クライアントの間に立ち、双方の情報を収集・整理した上で、反対側に流通させる。

・この構造を生み出す方法として、価値体系のズレがある2つのエコシステムを発見し、リソースを再定義して移転対象を特定し、価値移転の関所を築きゲートキーパーになる。

・ここで言うリソースとは。顧客に提供する便益のみなもととなるもの。ポイントは「それが初めからリソースとして認識されずに埋もれている」こと。例えば石油。これがエネルギーとして使い方も含めて認識されるか。Airbnbでいう空き家をリソースとして再定義できるか。そう言う話。

・リソースとして認識した後、誰でも模倣してリソースを使えるようではビジネスにはならず、ゲートキーパーとして流通経路を支配する仕組みを作ることでビジネスになる。テクノロジー、レギュレーション、オペレーションを駆使してゲートキーパーを築く。

・この考え方に基づいて事例が続く。例えばアクセンチュア。インドやフィリピンの新興国のエンジニアを、先進国の大手クライアント企業に対して高い報酬のエンジニアとして提供する。ゲートキーパーとして信頼ある大手クライアントへのアクセス権とか、安定・品質などの担保。

・他にも事例がわかりやすい。Uberとかたくさん。

・SaaSの解釈も面白い。「業務を型にはめて標準化・効率化する業務の型」がリソース。これを誰もが即座に同じ品質で実行できる仕組みにして提供する。この型の仕入れはコストがかからない(かかっているけど、多売できるし、やりながらアップデートとか)。この競争力を維持するにはシステムの良さよりも、業務の深さがポイント。(ここまでシステムにするか)がポイント。

・遺伝子=資本の話も好き。

・全部読んだ上での第12章が秀逸だ。素晴らしい。

・裁定取引との違いは、仕組みを作るところ。

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2026年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新しいビジネスはいわゆる「ゼロイチ」でできているのではなく、「価値」をどのように移転するかという「価値移転」だと説く。昨今の伸びているビジネスは、社会的な問題を含みながら成長していると。個人情報の問題がありながら成長したSNSのプラットフォームたち。インドなどでプログラミングすることで、安価な労働力に移転したIT企業など。事例を交えながら、価値の移転や、他社の参入を防ぐ方法など、確かにそうだなと思いながら読む。

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2026年03月18日

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