【感想・ネタバレ】眉山のレビュー

あらすじ

東京で働く咲子は、故郷の徳島で一人暮らす母が末期癌で数ヶ月の命と告知される。徳島に滞在し、母を看取ろうと決心した矢先、咲子は母が自分に黙って「献体」を申し込んでいたことを知る。それはなぜなのか? やがて咲子は、まだ会ったことのない父の存在と、母の想いに辿り着く――。毅然と生きてきた女性の切なく苦しい愛が胸をうつ長篇小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

道ならぬ恋で産んだ子を、見知らぬ土地で一人育てていくと決意した「神田のお龍」
一本気で気が強い、その気っ風の良さは男女問わず惹きつける魅力がある。そんな「神田のお龍」が臆面もなく、大好きであったと言い切る姿に、彼女は死ぬまで「女性」であったのだろう。
どうして彼の郷里に移り住んだのか、何故父親の人柄をを娘・咲子に話さなかったのか、何故献体という選択をしたのか。
添い遂げることは叶わなかった。けれど、この想いは一生自分の胸の内に秘め、その想いと一緒に生きていく。たとえ、死ぬまで彼と生きる道が交わることはなくても。この「想い」だけが、彼からもらった唯一自分だけのものだから。そんな覚悟を「神田のお龍」の生き様から感じた。

彼の郷里に移り住んだことも、献体に願い出たことも、何もできない自分からの健気なまでの愛情。
本当に死ぬ迄恋心と添い遂げるつもりだった。
それに対して、最期の邂逅では一度たりとも目を合わせない。命をかけて恋と覚悟を貫いていて、なんて美しい人生の幕引きだろう。

それ程までに愛した人に、目を合わせることもせずに、なんて苦しい恋だったのか。けれどそれが「神田のお龍」の幸せだったのだろう。

最後の「二本のパイプ」も、とても感動する。
献体として協力してくれた方々にも、人生があったのだ。人の命なくして、医学の発展はないのだな。

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2022年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地元の阿波おどりを見た数年前から、読んでみたいと思っていた。
お龍の生き方が格好よく描かれているが、壮絶な生き方だったろうと想像できる。なぜ阿波おどりを取り上げたのか、とふと思いながら読み進んだ。
阿波おどりについて「女踊りは忍耐と形式美に縛られる。不自由との闘い。しかしその不自由さによって沸点がさらに高く、熱くなる…。」と作者が記し、解説にて「これこそがまさに神田のお龍の生き方そのものだった」とあり、合点がいった。
徳島に足を運んで演舞場で観てみたい。勿論、12日に。

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2025年09月27日

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