【感想・ネタバレ】グアヤキ年代記 ――遊動狩人アチェの世界のレビュー

あらすじ

1963年、南米パラグアイ。フランスの若き人類学者クラストルは、深い森で遊動生活を送ってきた先住民族グアヤキ(自称アチェ)の調査に赴いた。彼らは白人に圧迫され衰退の道をたどっていたが、出産、通過儀礼、復讐の殺人、食人習慣など、様々な文化を保持していた。クラストルは不合理な事象の数々に時に戸惑いつつも、それらを精緻に観察し、背後にあるグアヤキの論理を鋭い視点で解明していく。暴力ではなく言葉によって自らの権威を証明しなければならない首長など、この調査で得た着想の一部は、後に『国家に抗する社会』として結実する。文学性にも優れた民族誌の傑作。解説 松村圭一郎

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Posted by ブクログ

ネタバレ

南米パラグアイの先住民グアヤキの参与観察に基づく民族誌。原著は1972年に刊行されているらしい。静寂の出産現場から始まり、生活の様子のみならず著者の熱意により解き明かされた儀式の裏にある神話や世界観までも詳細に語られていて面白かった。部族内の不倫などを逐一把握していて著者に告げ口に来る子供たちが可笑しくて笑う。

しかし、あまりに世界観やものの道理が私たちと違うので読むのに苦労するところもあった。
雷に打たれて赤ちゃんが死ぬと、その「復讐」のために赤ちゃんのおじにより関係ない男の子が殺され、特に殺人が罰せられることはなく血の穢れを祓う清めの儀式のみが行われる。さらに殺された男の子の「復讐」のために名付け親的存在の男性が立ち上がり、清めの儀式に携わった夫婦の娘を殺す。やはり殺人は罰せられることなく、清めの儀式のみが粛々と行われる……。このあたりは私たちと全く常識が違うので理解が追いつかず、えっ?えっ??と何度も?が頭に浮かんだ。
男性が死ぬとその霊の慰めとして娘が殺される、というくだりはまだひどいとは思えど理解はできたが、いかに倫理や道理というものが普遍ではないローカルなものか考えさせられる。けれどそれは、決して不快ではない。人間共通の倫理や常識なんてないのだ、と思い知らされることは、どこかすがすがしい感じすらある。世界は広いなあ。

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2025年11月11日

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