あらすじ
90歳を迎える現代美術家は、どう「老い」を受け入れているのか。極度の難聴で負ったハンディキャップを「面白い!」と言い切り、難問にぶつかれば「しゃーないやんケ」とすぐに諦め、「何もしない」ことの効能を説いたと思えば、世間の「人生百年時代」という風潮には抵抗する――。とにかく生きるも死ぬも運命に翻弄されるのが面白い。その潔い言葉に触れるだけで心が楽になる、「身をゆだねる生き方」の美学。
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Posted by ブクログ
2026年刊。『週刊新潮』連載「曖昧礼賛ときどきドンマイ」から47回分。
凄い、横尾忠則がまた新しくなっている。とぼけたタッチだけれど、論旨は明快。繰り言もない。老いのことも書いているのに、書き方が老いを感じさせない。
たとえば、ボーっと生きてんじゃねーよ、に対しては、ボーっと生きてもいいんじゃないの。断捨離ブームについては、自分の集めた物は自分の記憶、生きてるうちはどれも捨てるわけにはいかない。その生き方、その物言いが(私の場合は)ストンと落ちる。いつもながらのスピリチュアルも健在(これだけついていけないんだけど)。
傑作は、天皇・皇后陛下との懇談の回。23年11月、その席に招かれた。しかし、この時は重度の難聴。補聴器をつけてもうまく聴きとれない。こちらやあちらの編集者にしゃべらせてヒアリングの練習、でもうまくいかない。たまたま蕎麦屋にいた俳優の小澤征悦夫妻をつかまえて、その練習。そしていよいよ最高の緊張状態で、懇談の席に臨むのだが……
輪廻転生はあると言っているくせに、自分は生まれ変わりなんかしたくないという。どういうことなのか。でも、アートにしても朝日新聞の書評にしても、いまも新たな境地を展開し続けている。輪廻転生しなくたって、この世でちゃんとプチ転生してんじゃん。