【感想・ネタバレ】怒っている子どもはほんとうは悲しい~「感情リテラシー」をはぐくむ~のレビュー

あらすじ

人生100年時代の現在、子どもたちに生じている心の危機。一因として「感情の理解の仕方や扱い方」を学ぶ機会に乏しい点がある。「自分の感情に気づく」「他者の気持ちを想像する」「気持ちを言葉で伝える」といった、感情に関する基礎的な力を育むことは、単に感情の安定をもたらすだけでなく、今の時代を生きる土台となる。世界でも注目のSEL(社会性と感情の学習)と感情リテラシーの育て方について第一人者が丁寧に解説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の感情をきちんと認識理解し適切に表現できるというリテラシーが必要と思ったことと、実際に直面している子供がメンタル的な蛮行や親子の関係改善を図れたらと思って読んでみた本

本質から若干それてしまうが、「感情を耕す」という概念的な表現がとても印象的だ。「耕す」という言葉に道徳教育に収まらない、国語力も含めた教育環境を整える土壌のようなものとしてとらることが適切だと思えるから。非認知能力と感情リテラシー様々な方向で記述されている。非認知能力との関係や不登校などリテラシー不足が招く危機について、日本の感情表現にまつわる歴史はとても教養が高まる話だった(特に国語劣等生だった私には歴史、文学的な話を教養的に思えてしまう)。あとがきにポールエクマン博士の話をもってくるあたり、生粋の感情研究者なんだなぁと妙に納得してしまった感がある。

さて本題に戻ろう。感情リテラシー教育は、昨今重視されるSTEAM(科学・技術・工学・数学)教育で見落とされがちな人文学的側面を浮き彫りにしているなと感じた。単にSTEAMだけやってりゃいいわけではない。よく非認知教育とSTEAM教育をセットで・・・なんて話もよく出てきているが、それよりももっとファンダメンタルな部分の教育として感情リテラシーがあるんじゃないだろうか。ICTリテラシーはビジネスの世界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連して重視されているが、これからの時代にはICTリテラシーともに感情リテラシーも大切に身に着けるべきものだと思う。

この概念理論的なリテラシーの応用事例が(特に中高生の)不登校、いじめ、暴行、親や同級生を殺めてしまう事件なのだ解釈できる。感情リテラシーは、自分の感情を適切に表現することとともに、他者の感情表現を尊重して受け取れるための知識と知識の運用スキル、と捉えることができる(ヴォルテールの名言みたいだな)。その結果、不登校の問題は「自分の感情を適切に表現したり、受け入れてもらえないことで起こる大人と子供のリテラシー不足の問題」という見解が得られる。でもどうしたら改善方向に?とは思うけど、おぉとても腹落ちする。

そう考えていくと、感情リテラシー教育はELSI(倫理的・法的・社会的な課題)の解決に必須重要な一つのファクタにもつながっていくはず。感情という幅広いテーマだと考えることがあっという間に壮大な話になりそうなので有識者が適切に取り組めるようにカットしてもらえたら私のような週末研究者でも勉強できるテーマになりそうでありがたい。教育という視点では、SEL(Social Emotional Learning)、SST(Social Skill Training)といった分野として専門家が活発に議論されている研究領域のようなので、時々チェックをして子供との関係改善に活用できたらと思う。

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2026年07月21日

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