あらすじ
現代人は頭でっかちになりすぎて心身のバランスが崩れているから鬱病や自殺が起こる。自然界の生物たちに学べば、自由で楽しい生き方ができるはずである。生物学の知見を引用して池田流の生き方論・幸福論を展開する
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Posted by ブクログ
チェック項目5箇所。ナマケモノは毎日20時間も寝ているが、現代人は7,8時間しか寝ていない、中には4時間ぐらいしか寝ないで働いている人もいる、そんなにあくせくしないで、少しはナマケモノを見習ったほうがいいんじゃないだろうか、というのが本書の主旨である。人類が働くようになったのは7000年前頃に農耕を発明してからだ、穀物は貯蔵可能なので、余分に収穫できればできるほど有り難く、そのために農耕民は長時間労働を余儀なくされたのであろう、そこから「働かざるもの食うべからず」とか「労働は美徳である」といったイデオロギーが始まったのだ。狩猟採集民であったとき、人間は互いの部族に壊滅的な打撃を与えるような戦争はしなかっただろう、農耕をはじめたことで人間は長期間労働を行うようになり、さまざまな剰余すなわち富を生み出したのだ、その副産物が権力であり、奴隷であり、戦争なのである、農耕、労働、富、権力、奴隷、戦争、これらはみな同じ起源をもってつながっているのだ。東南アジアなどに行くと、いい歳をした男衆が真昼間から賭け事をしたり、雑談に興じたり、あるいはまったく何もしないでぐうたらしたりしている光景をよく目にする、勤勉な人からすれば、「こいつら何やってんだ?」とあきれることもあるだろうが、生物としては彼らのほうが健全な生き方をしているのかもしれない。コミュニケーションの能力は劣るけど、家をつくらせたら天下一品だとか、そういう人はたくさんいた、受験勉強やコミュニケーションスキルとは無縁のところで能力を発揮できる人場がかつてはあった、その意味で受験勉強とコミュニケーションの才能ばかりが評価される社会というのは相当いびつな社会である、多様性が大事だと言いながら、社会へ適応できる能力の範囲は狭まっている。成長して子どもを産み、老いて死ぬ、生物というのはすべてただそれだけの存在であり、人間も例外ではないのだが、脳が大きくなった人間は、どうしても人生に意味を見いだせなくなってしまうものらしい。