あらすじ
生涯通算獲得タイトル数歴代1位、史上最速での1200勝達成、王座を奪取し三冠! 進化を続ける希代の棋士の「直感力」を初めて開陳。「直感」と「読み」と「大局観」。棋士はこの三つを使いこなしながら対局に臨んでいる。そして経験を積むにつれ、比重が高くなり、成熟していくもののひとつが「直感力」であるという。将棋は、ひとつの場面で約八〇通りの可能性がある。それを瞬時に二つ三つに絞り、直感によってひとつの手を選ぶ。直感は、一秒にも満たないような短時間でも、なぜそれを選んでいるのか、きちんと説明できるものだ。直感とは、自分自身が築いたものの中から萌芽するものであると著者はいう。内容例を挙げると、◎「見切る」ことができるか ◎無駄はない ◎底を打つ ◎何も考えずに歩く ◎他力を活かす ◎見極めの制度 ◎道のりを振り返らない等々迷走続ける現代社会に生きる我々に、自分を信じ、突き進む力と勇気を与える一冊。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
おもしろかった。将棋界に一時代を築いた大名人が、自ら感じて、思った、数々の言葉
直感とはたんなるひらめきではなく、これまでの多くの経験や思考が導き出される一瞬の思考である
気になったのは以下です。
■直感とは
・直感は決して先天的なものではない
・ツボを押さえる、といった感覚が自分の中に出現するのを待つことが大事なのではないかと思う
・論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる
・つまり、直感とは、論理的思考が瞬時に行われるようなものだ
・直感とは、本当になにもないところから、湧き出てくるわけではない。
・考えて考えて、あれこれ模索した経験を前提として蓄積させておかねばならない。
・また、経験から直感を導き出す訓練を、日常生活の中でも行う必要がある
・もがき、努力したすべての経験をいわば土壌として、そこからある瞬間、生み出されるものが直感なのだ
・長く考えていればそれだけ思考が深まっていい手が指せるのか、いい決断ができるのかというと、必ずしもそうではないような気がする
・直感を磨くには、多様な価値観を持つことだと思う
■無理をしない
・余白がなければ直感は生まれない
・リラックスした状態で集中してこそ、直感は生まれる
・多分無理だろう、どうせ役に立たないけれど、というくらいの気楽な気持ちでやっていたほうが、たとえ直接的でなくてもヒントになったり、何かのきっかけになったりする
・あえて、考えない、時間を意識的につくることが大切だと思っている。
・それは、いわば頭の中に空白状態をつくることだ
・集中力を高めるには、いくつかのトレニング方法がある。
・ひとつには、前述したなにも考えない時間をもつこと
・もうひとつには、じっくりとひとつのことについて考えをめぐらせる習慣をつくること
・ある一定の時間ひとつのことに集中する
・そして、さらに集中力を高め継続させる方法に、時間と手間のかかる作業に取り組むということがある
・モチベーションが上がらない、やる気が出ないところで集中するのは至難の業だろう
・それでもダメな場合、もしくは、その努力をする気分にもなれないことがある
・そんなときはどうするか、あえて、底を打つ、のもひとつの手だと思う
・義務感やりきみを身にまとわないためには、完璧主義にならない、曖昧さを残すことも案外大切だと思う
■囚われない
・コツがわからないこと、を難しいからと投げ出してしまうのではなく、なぜなのか、と探求していく気持ちが大切なのではないか。
・こどもは、理解できないこと、を自分で深堀していく達人である
■力を借りる
・実力がないのであれば、要は実力をあげればいい
・それには一生懸命努力するしかない
・運にたよっていてはダメだ
・一生懸命頑張って、根本的な地力をつけるしかない
■直感と情報
・完璧とか万全の状態をつくるなど至難の技だということに、当時の私は気が付かなかった
・山ほどある情報から、自分に筆湯な情報を得るには、選ぶ、より、いかに捨てるか、そして、出すか、の方が重要なのである
・当然、覚えていかなければならないこともあるが、それと同時に、忘れることも非常に大事なのではないかと思っている
・情報を、「事実」と、「予測や説として発信されたもの」とに分け、時系列に並べてみることだ
・そうすることによって、大きな流れがつかめるし、ポイントとなる場面も浮き彫りになる。
・無駄な部分も明白になり、全体像がおぼろげながら見えてくるはずだ
■あきらめ
・最終的にあきらめないというのは、たとえ、その1回は、あきらめても、それを次に生かすことだ
・自分の中で見切りをつけて次に備えていくほうが、結局長い目で見た時には、成長につながると知ることだ
・ミスはしないに越したことはないのだろうが、ある意味必然である。
・そのとき大事なのは、ミスの後にミスを重ねないことなのではないか、と思っている
■自然体
・目標は一気に課してはいけない。
・少しずつ積み重ねることによって、気がつけば着実に前進している
・自然にできることを続けていくという健全さが必要なのだ
・想像力とは、まだ起こっていない、しかし、起こるであろう現象を、リアリティをもって受け止める力のことだ
・その想像力を働かせて頭の中に描いた何かを具体的に実現させるアイデア・発想が創造力だ
・創造力はまったくのオリジナルでなければならない、ということはない
・常に真新しいものでなくても、切り口によって違いは出る
・同じテーマでも、他の人とは違う自分なりの切り口をもつことで、生み出されるものは変わってくる
・大事なのは、それらの力を養おうとすることだ
・情熱は、常に何かを探し続けることでも保たれる
・今まで、自分の中になかった何かを発見する、というプロセスを大事にするのだ
■変えるもの、変えられないもの
・進めたい、変えたいとおもっても、大きな流れの中では、変えられないものもある
・どちらに進めばいいかはわからない
・わからなくても、どこかに進むしかないのだ
・自分で調べて自分で考え、自分で責任をもって判断する姿勢をもっていないと、自分の望んでいない場所へ流されていく可能性もある
・その先を読む眼をもつためには、表面的な出来事を見るのではなく、水面下で起きているさまざまな事象を注視することだ
・その時々に適応しながら、少しづつあゆみを変えて、気づいたら、まったく別の場所にいる。
・それは確実な変革の方法だ。
・変革が大事、変化を求めている、といったことが喧伝される
・しかし、いきなり大転換してしまった、たいていはうまくいかない
・時間をかけ、少しづつ、少しづつ歩幅を変えていきながら、たとえば、それが2年、3年という時間を経たときに、ぜんぜん違う形、違うものになっているというのが、一番スムーズでリスクも少ないのではないかと思うのだ
・肝心なのは、それを私たちがどうとらえるかだ
・変えていくべきものと、変えられないと思うものの区別は私の中にはない。
・ただ、そこに取り組むときに、自分の個性、スタイルみたいなものは、どうしてもあらわれてくる。
・どんなに流行していても、いま最先端だといわれても、自分の個性、考え方にそぐわないものであれば、求めようとは思わない
・流行はやがて変わってしまうものでもあるし、そのときに思ったことには何か理由があるわけで、その原因を突き詰めていくほうが将来に対してより有意義ではないか
・実戦を重ねることはもちろんだが、それだけでなく、地道な日々の積み重ねをしない限り、向上することはない
■結論
・何をしたらいいのか、どうなっているのか見えにくい、分からない時代をいきていかねばならない。
・そのときの一つの指針となるのが直感だと考えている
・何かの判断をする、決断をするというときに、目の前の現象だけに囚われることなく、自分自身によりどころを求めることができるのではないだろうか。
・自分自身によりどころを求める その根底には経験を積み重ねることで蓄積され、かたちづくらた人生観や価値観といったものが横たわっているはずだ
・それに基づいた選択がベストでなかったとしても、すくなくとも自分のスタイルにはあっているはずだ。
・だから、次にミスをする可能性も小さいし、ある種の心地よさも内包している
・背伸びをして成長していく方法もあるが、自分の流儀を見つけてそれに合った選択をしていくという覚悟を迫られているきがしてならない
目次
はじめに―直感をどのように活かすか
第1章 直感は、磨くことができる
第2章 無理をしない
第3章 囚われない
第4章 力を借りる
第5章 直感と情報
第6章 あきらめること、あきらめないこと
第7章 自然体の強さ
第8章 変えるもの、変えられないもの
おわりに―直感を信じる力
ISBN:9784569804897
出版社:PHP研究所
判型:新書
ページ数:216ページ
定価:760円(本体)
発行年月日:2012年10月
発売日:2012年11月01日 第1版第1刷
発売日:2015年10月16日 第1版第11刷
Posted by ブクログ
・同じ指示を出されても、人によって仕上がりは異なる。同じ単語でも、人によって解釈は異なる。→基本を踏まえ、一手ごとの選択をし、時にはリスクを冒して決断するといった経験を重ね、道のりを歩いてのちに、自然に個性は出てくる。
・色んな環境や関わる人、経験などによって、「その人」が出来上がっていく。例えば、たまたま長女に生まれたからこそ、責任感や面倒見が育まれる。私の場合、人と調和することよりも、自分が興味のあることをやりたい。その為には1人でも構わない。1人で参加すれば、初めての人とも関わることが出来る。
・向かうべき答えが分からない場面→何をしてどう考えるべきかが、非常に大切でありその人の個性が際立つ時。→昔からあるアイデアに今のアイデアを付け足していく。
Posted by ブクログ
僕は何かを選択する時に直感というものを日々の生活の中で大切にしている。
将棋の世界で一流のプロ棋士である羽生棋士が考える直感力とは何か、一流の人の直感力を学んで自分の人生に生かせるものを探してみたくてこの本を手に取った。
『この本を通じて感じたこと』
「直感で決めました。」と聞くと、行き当たりばったり的、責任感の薄い選択というような印象を受けることはあると思う。
しかし、羽生さんは、直感とは論理的思考の蓄積により導かれるものであると言う。
つまり、直感とは、今までの経験に基づいた無意識下で行われる瞬間的な論理的思考により下される決断。
この言葉を聞いてとても納得させられた。
そして、直感力を磨くために最も必要なことは「経験」であるらしい。
経験をどれだけたくさん積み、多様な価値観を自分の中に持ち、選択の可能性を広げること。
それによって何か選択や決断をしなければならない時、周りの意見や世間体などの外部環境に惑わされることなく、自発的な行動によって得た自分の内にある経験、知識に基づき形成された自分の人生の軸に従って選択、決断をすることができる。
これによってその選択がベストでなかったとしても、それなりに自分自身の選択に納得感を持てるし、次の選択でミスする可能性が小さくなると言う。
将棋はひとつの場面で約80通りの可能性があり、その中から一瞬で2つか3つの可能性に絞り込み、残りの選択肢を捨てるらしい。それでもミスをすることはあるし、ベストな選択ができることは稀だと言う。
まさに直感力が必要とされ、それを磨かなければベストな選択どころかベターな選択すらすることは難しいだろう。
この話を聞いて将棋は人生に例えられると僕は思った。
私たちは日々の生活の中のあらゆる場面を選択の連続によって過ごしている。
例えば、今日のお昼はご飯にしようかパンにしようか、今日の夕食は友達と外食しようか帰宅して家で自炊しようか
といったささいなものですら。
よく人生は選択の連続と言われるが、私たちは受験校を決める時や就活、告白のタイミングといった重要なターニングポイントでない限り、ほとんどの場面においておそらく無意識下で選択を瞬間的に行なっている。
それでもそれらの選択は全て自分自身の中にある経験、人生観に基づいていると思う。
将棋であれば「目の前の相手に勝つ」ことが棋士にとっては最大の目標であり、最大の喜びであるだろう。
同じように膨大な選択肢の中から自分の人生の幸福度を最大化する選択をできたら、今日より明日、明日より明後日とより良い人生を送ることができると思う。
そのためには悩んだり考えたり、失敗したり、時には無駄だと思うことでもいつかきっと役に立つと考えて取り組んだりする「快くない経験」を若い時にたくさんすることが直感力を磨き、選択の可能性を広げ、幸せになる近道なのかな。
楽して幸せや成功はつかめないんだなと改めて思った。
また、羽生さんの生き方、考え方を知り、人生そんなに焦らなくていいんだよ、無理しなくていいんだよっといったメッセージを自分は受け取って少し心が軽くなった。
例えば、、、
完璧主義に囚われないこと、時には潔くあきらめること、思い通りにならない自分を楽しむこと、変化を楽しむこと
どれも心に余裕がなければできないことだと思ったし、その余裕は圧倒的な経験から来るものかなと思う。
『好きな言葉』
自分が予想しなかった何らかの出来事で状況が変わることがある。それは自発的な行動の中から生まれてくるものでその小さなきっかけを意識的にたくさん作っておけば、訪れる転機の回数も増える。
転機とは、天気のようなものでいつどのように変わるかは分からない
Posted by ブクログ
羽生先生の直感力についてだけでなく、生き方への指南書みたいな印象も受け、とても感銘を受けた。(先生はそういうつもりはないかもしれないが、あくまで主観)
前人未踏の域に入り、今でも第一線で結果を出し続けられる先生の本であるので、深い内容を感じた。
Posted by ブクログ
将棋棋士として、数々の賞、記録を獲得してきた羽生善治氏の、「直感」に焦点を当てた今作品。
羽生氏が言うには、「直感とは、数々の経験を積み重ね、その結果、論理的思考を瞬時に出来るようになった状態」と語っています。
それが私にとってとても興味深かったですし、確かにと納得する部分もありました。
例えば、一目見ただけで、その人となりが分かる、という方っていらっしゃると思いますが、その方は、沢山の人と出会った経験から、瞬時にその人の性格を見抜いてしまう、ということと同じなのかなと思います。
私もこれからもっと沢山経験して、瞬時にベストな選択をする事ができる経営者になりたいと思いました。
Posted by ブクログ
直感は本当に何もない所から湧き上がることはない。
もがき努力した全ての経験を土壌として、ある瞬間に生み出されるもの。ほとんどが無意識下で行われ、意図的に行っているのかが自分自身にもわからないようになれば、直感が板についたと言える。そしてそれを信じることで、湧いてきた直感が初めて有効になる。
Posted by ブクログ
伝説の棋士、羽生善治の思考のエッセンスが凝縮された一冊。
将棋の話だけではなく、そこから得られた様々な対象についての洞察が記されている。読みやすく、こうした考えもあるのかと参考になる。良書。
Posted by ブクログ
精神力や頭脳が問われる将棋界の雄である作者の人生観は納得させられる内容です。そして常に前向きな考えは作者の素質とも言えます。将棋は読み・計算、大局観、直感力の3要素でそれが経験により大局観と直感力に頼る方向にシフトしていくというのは他の人生にも言えることで、特に直感力は育てることで成長することを意識したい。何事も行動して自分のものにしていくことや、あまり詰め込まず余裕をもつ事で得ることができる発想というものを自分の人生において実践したい。
前向きな生き方にも好感。
Posted by ブクログ
直感には論理的思考の蓄積が必要。
余白がなければ、直感は生まれない。リラックスした状態で集中してこそ直感は生まれる。
好きなことには、関心を持って焦点を当てられる。一方苦手なものにも得るものはある。
直感の醸成は自分1人では成し得ない。相手の力を活かし、自分の力に変えることが、自分の創造性、やる気の継続へとつながる。
不安定な時間に対して耐性を持つこと。情報を積み重ねただけで成果が見えるような、性急な進化を目指してはいけない。
時にはいさぎよくあきらめることも必要。
目標は一気に課してはいけない。少しずつ積み重ねることによって、気が付けば着実に前進している。という自然に出来ることを続けていくという健全さが必要。
著者に興味があり、手に取った。普段著者が考えられていることが垣間見えとても面白かった。
Posted by ブクログ
直感力は経験の積み重ねの上に成り立つ。
スランプの時には、決して無理をしない。
道のりをふりかえらないと言う話は、過去や自分の成功体験に縛られない。
将棋の世界が、無駄なものを削ることで成り立ってきたこと。わびやさびの無駄なものを削った日本人の世界観に通じるものがあるのではと感じました。
Posted by ブクログ
読書録「直感力」4
著者 羽生善治
出版 PHP新書
p148より引用
“目標は一気に課してはいけない。
少しずつ積み重ねるっことによって、気がつけば着実に前進している。
自然にできることを続けていくという健全さが必要なのだ。”
目次から抜粋引用
“直感は、磨くことができる
無理をしない
囚われない
力を借りる
直感と情報”
将棋棋士である著者による、経験を土台と
した直感について記した一冊。
著者の考える直感の正体についてから著者
の直感を養った子供時代の経験まで、将棋だ
けでなく世の中について広く目を向けて書か
れています。
上記の引用は、自然体の強さと題された章
の、冒頭の一節。
無理しなければ続けることが難しく、続ける
ことが出来なければ上達できず、続けること
が出来なければ経験を積むことが出来なくて、
直感として自分の身につくこともないという
ことのようです。
物凄い天才と思える著者であっても、面白い
と思って、子供の頃から続けることが出来た
から、将棋が強くなったのですね。
まあしかし、続けたからといって、皆が著者
のようになれるわけがない所が、才能の差な
のかもしれませんね。
当てずっぽうではなく、どんなに素早く出
てくる答えでも、後からキチンと説明できる
位の、直感力が備わるように、日々何事も勉
強として過ごせるようにしたいものです。
ーーーーー
Posted by ブクログ
先行き不透明で不安な時代だからこそ、
生きるための1つの指針としての直感力を磨いていく必要がある。
直感とは決断するための思いきりのよさ。
直感でそう思うのには、理由があり、自分の今までの人生と密接な関係のあるものである。
そして、誰でも磨くことができるのが、直感力である。
羽生さん直伝の直感力の磨き方が述べられてある。
一番思ったことは、将棋をやりたい!
Posted by ブクログ
・少しずつ積み重ねることによって、気がつけば前進している。自然にできることを続けていくという健全さが必要
・途中で挫折してしまう人はきっと、立ち止まってそれまでを振り返ってしまうのだろう。その時点で何かを達成できていることが目的ではない。いま進み続けているということだけが大事なことなのだ。
・余白がなければ直感は生まれない。リラックスした状態で集中してこそ、直感は生まれる。
Posted by ブクログ
この本で出会った素敵なフレーズが二つある。
一つ目が「短期的には否定的で、長期的には楽観的に考える」という文章だ。成長にはある程度、現状の自分には満足せず問題点を見つけなければならないが、そればかりに集中してしまうと全体すらも否定的に捉えてしまい、あたかも自分という人間が駄目なように感じてしまう。私は、ネガティヴはピンポイントで、全体ではポジティブで。を心がけたいと思った。
二つ目は「あえて考え込まない、自己否定ないことは、感情的にならずに冷静に判断し選択するというプロセスにおいて必要不可欠だと思っている」という文章である。私はてっきり考え込むことで冷静に判断できると思っていたし、「考え込む」ことが「冷静」を想起させるとまで思っていた。でもそうではない、一歩引いてフェアな視線で考えることが「冷静に判断する」ということらしい。
Posted by ブクログ
内容は感覚的か論理的と問われれば明らかに前者で、ちょっと難しいところもあったけど著者は分かり易く表現するよう努めてくれたと思う。
野球でもゴルフでもそうだけど、その道に特化した人はそれで人生を例えるけど羽生氏も将棋で人生を見ている感があって興味深かった。
Posted by ブクログ
世間からすごいと言われる人は皆共通する思考回路を持ってるんだなと思った
道のりを振り返らないっていうのは確かに大事
「これだけ時間をかけてやったのに…」っていう思考が成長を減速させるんだよね
✏論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる
✏自分が学んでつくりだした「経験のものさし」によって、人は何かことに当たるとき、その時間の不安に耐えられるようになる
✏何を選ぶかは、選ばなかったことに対してどれだけ多くの創造力を働かせることができるかによると思う
Posted by ブクログ
本書の「はじめに」に、棋士は「直感」と「読み」と「大局観」の三つを使いこなしながら対局に臨んでいると述べ、そのうち「読み」については「計算する力といっても過言ではない」と述べている。「大局観」については、著書を読んでくれと言われている。そして、本書で「直感」について語ろうというのだ。
ただ、本書のタイトルは「直感力」であるが、それだけについて語られたものではなかった。将棋という勝負の世界全般について語られている。自身の期待としてはプロの棋士の直感というものがどういうものかを知りたかったので、それについて述べられた最初の二章くらいがとても面白かった。
第一章「直感は、磨くことができる」
「直感は決して先天的なものではない」という言葉から、「直感」は経験により得られるということだが、その得られるプロセスの説明が非常い興味深かった。
「地を這うような読みと同時に、その状況を一足飛びに天空から俯瞰して見るような大局観を備え持たなければならない。そうした多面的な視野で臨むうちに、自然と何かが湧き上がってくる瞬間がある。」
羽生さんと対談されたカーネギーメロン大学の金出先生の言葉も並べてみると面白い。
「それまでは毎回発火していた脳のニューロンが、その発火の仕方がいつも同じなので、そこに結合が生まれ、一種の学習が行われたということではないか」
「直感」といっても、それは膨大な思考の蓄積の中から生まれるものというイメージだ。昨日今日でふと直感力が身につく者でないことが分かる。
さらに、次のような言葉は、プロ棋士の「直感力」がいなかるものかを少しでも理解する手立てとなるように思う。
「つまり、直感とは、論理的思考が瞬時に行われるようなものだというのだ」
「もがき、努力したすべての経験をいわば土壌として、そこからある瞬間、生み出されるものが直感なのだ」
「湧き出たそれを信じることで、直感は初めて有効なものとなる」
「惑わされないという意志。それはまさしく直感のひとつのかたちだろう」
「将棋は、ひとつの場面で約八〇通りの可能性があると言われている。私の場合、その中から最初に直感によって、二つないし三つの可能性に絞り込んでいく」
「直感は、ほんの一瞬、一秒にも満たない短い時間の中での取捨選択だとしても、なぜそれを選んでいるのか、きちんと説明することができるものだ」
「直感を磨くには、多様な価値観を持つことだと思う」
次の第二章「無理をしない」では、冒頭に「余白がなければ直感は生まれない。リラックスした状態で集中してこそ、直感は生まれる」という言葉が紹介され、その意味について解説が加えられる。
「余白がある」ということは、「無駄がある」と同意のようだ。無駄とは「役に立たないこと」とか「間違い」とかを意味するようであるが、そういうことの経験も一定量を超えると、それが全体に対して有効になってくるという。「失敗は成功の母」の考えに近い。
リラックスした状態で集中する、その集中とはいかなるものか。
著者は、集中力を高めるトレーニングとして3つ挙げている。
①何も考えない時間をもつ(その状態からスタートして、徐々に深く潜っていくのだそうだ)。
②じっくりと一つのことについて考えをめぐらせる習慣を作ること。
③時間と手間のかかる作業に取り組む(=集中力持続のために)。
すなわち、「集中力」もまた昨日今日で簡単に身につくものでないことが分かる。
無駄と思えることも、失敗も、多くの経験の蓄積を重ね、そういう取り組みの中でじっくりと一つのことについて考えをめぐらせたり、時間や手間をかけてでも取り組んでいくという地味な作業の集積の結果として、すぐれた「直感力」が獲得できるということになる。何事も真剣さを忘れず、経験を積み重ねよということだろうか。
Posted by ブクログ
羽生さんのような、いわゆる“凄い”人が何をもって判断しているか、羽生さんなりに自己分析された本です。
個人的にですが、半分は共感できますが半分は共感できない、そんな内容でした。
羽生さんはこの本を40代前半で記されているので、その年代に近い方々には、“自分を信じて判断してね”といった内容は響くと思います。
一方、現在20代の自分には、その判断材料となる経験が浅く、またその経験の積み方にも不安があり、どうにも納得できませんでした。
20代向けの自己啓発は大体、
・熱中できることを見つけろ
・熱中できることに集中できる環境に身を置け
・挑戦あるのみ
と書いてありますが、羽生さんはそれを前提とした上で、
・集中しすぎないで
・空白の時間、他のことに費やす時間も大切にして
と言ってる気がします。なので、上記を前提とした状況にある人には、今後頑張るエネルギー源になる本だと思います。
久しぶりに自己啓発系を読みましたが、抽象化すればどれも同じ内容なので、後はそのバックグラウンドとなる内容が誰に刺さるかを考える編集者の腕が問われてる気がします。そういう意味では、中高年向けの表紙に対して20代の自分が手を取ったのがちょっと違ったのかもしれません。
Posted by ブクログ
羽生名人による「直感力」について書かれた本。棋士として感じていること、今までの経験、出来事など、言いたいことを飾ることなく述べている。気楽に読める一冊。
「調子を測るバロメータは「見切る」ことができるかどうか」p27
「直感を磨くためには、無駄と思われることが大いに役立つことがある。」p39
「何が何でも思い切ったことをしてやろうとしていたのが、昔の若い頃だった。しかし、それでは冒険をすることが第一義になってしまう。あの頃は、「やってもよう」「やってやろう」が目的だったのかもしれない。今は、過去に誰かが通ったとか結論のあるなしといったことを中心に考えるのではなく、自分が行けると思うかどうか、自分自身の判断や意志に重心を置くようになってきた」p110
「人は必ず、アウトプットしながら考え、それを自分にフィードバックしながら、インプットされた知識や情報を自分の力として蓄積していく(インプットばかりしていてはダメ)」p117
「「あきらめてはいけない」と言うのは簡単だが、必ずしもあきらめないことがいいわけではない。時には潔くあきらめることも必要だ」p130
「私は、1年間で50~60試合くらいの対局をしているが、今日はノーミスで100点満点だったと思えるような対局は、よくて1年に1回とか2回」p139
「私はこれまで公式戦で、合計1600局くらい対局をしてきているが、中で一度、うっかり「一手詰」を見逃して負けたことがある。あれは2001年、竜王戦挑戦者決定戦の三番勝負の一局目だった。そのときは、30秒か40秒もの間、私は全く気がつかなかった。「血の気が引く」という表現があるが、それに気づいたときは、そんななまやさしいものではなくて、血が逆流したような感じだった。そんな状況に気づいた瞬間、私も慌てたが、対戦相手の木村一基さんも、おどろくほどの慌てようだった」p140
「ある時点でミスをしてしまうと、それまで築いてきた作戦や構想、方針といったものがすべて崩れてしまい、もう一度最初からやり直さなくてはいけない」p143
「(ミスをしたときは)(その場で)反省をしないこと。(反省は後でするもの)」p145
Posted by ブクログ
将棋は全くわからないですが…。
将棋が好きな人にはたまらなく面白いのではないでしょうか。
自らが将棋を通して経験した直観力、モチベーションの維持、開き直りなどを解説してます。
自分もこういうやり方で合ってるのかなとかしょっちゅう思いますが大概のことは報われず見切ることの大切さ、それを経験することで直観力が磨かれると羽生さんが言ってはります。
こうしてないとダメとかあんまり思う方ではないですが囚われずにやっていきたいですね。
Posted by ブクログ
直感というのは、論理的に考えていることの積み重ねでそれが一瞬で出てきたもの。
上達するとは集中する、できる時間を伸ばしていくこと。
桂馬や香車は香辛料を意味する。
日本は簡素にする文化。
Posted by ブクログ
「直感力」というよりは、創造力、継続力が軸だったような気がする。「決断力」から7年経った2012年の発行、40歳を過ぎてからの著書。これまでの著書とさほど変わり映えはしないことを考えると、30代では大きな心の変化はなかったのかもしれない。
Posted by ブクログ
羽生善治という稀代の棋士が綴る勝負事における直感の大切さ。
直感とは論理的思考が瞬時に行われるものであるため、日頃から様々な多様な価値観を取り入れることで直感力を鍛えることが肝要であるとしている。
Posted by ブクログ
直感は信じても良いと思わせてくれる優しい語り口の本。
ただ、その直感は経験に裏打ちされたものであることが大切なのですね。
その為にも、普段からの気付き、工夫、努力を怠らない事、きちんと糧にしていく事を学びました。
Posted by ブクログ
将棋の第一人者の羽生善治が、将棋の対局でどのような思考法で書いたかを書いた一冊。
啓蒙書としての有効性もさることながら、彼の人となりを知るのに最適な一冊。