あらすじ
アメリカ兵と日本人女性との間に生まれたミッチとカズは、ママに引き取られて暮らすことに。また、ママのいとこの子であるヨン子とも幼馴染みであった。ある日、オレンジ色のスカートをはいたミキちゃんという子が池で溺死する事件が起こる。彼らは成長し、それぞれの人生を歩み始めるが、数年に一度、オレンジ色の衣服を身につけた若い女性が殺害される事件が起こり、彼らは過去の記憶に苛まれるのだった……。
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Posted by ブクログ
読後、残ったのはしんしんと滲み入る寂しさ、悲しさ。
何やらどうにもならない運命のようなもの。
その分、人の優しさが滲みた。
みんな愛おしい。
文体が独特。
長い長い夢のお話のよう。
Posted by ブクログ
私はまず、人称の使い方が面白いなと思った。
一人の意識なんだけどちょっと集団意識っぽい感じというか。
全部妄想なのかもしれないけど、声が消えない。自分以外の声が聞こえる、というのが、新鮮だなと。
震災以降、自分ひとりという単位が、困難になっているんじゃないかと思った。
ヤマネコドームでいうと、ミキちゃんの事件なんだけども、エポックメイキングな事件を同時に味わった人々の中に生まれる(はずの)共通のイメージだとか、言葉の、範疇というのでしょうか。
それがみんなの中にあるから、それを一旦経由しなきゃいけないような気がする。
経由しなかったとしても、人々はそれぞれに経由して感じ取るというのか。
ミキちゃんの事件みたいに、あらゆる可能性や、何もできなかった自分や、ぼんやりした罪悪感や、出口のないすすり泣きが、世界の一部に組み込まれたんだなと私は思いました。
自分ひとりだけの自意識の中に、みんなが知っている「あのこと」が入っている。この困難。