あらすじ
バブル崩壊以降、危機の度に生じる「円高」から日本経済の長期停滞の核心に迫ります。円高という根本原因を放置しては、財政出動も、構造改革も、何の効果も持ちません。アベノミクスのロケットスタートも、「3本の矢」という政策よりも、むしろ「円安」によってもたらされています。韓国、スウェーデン、フィンランドは、金融危機に陥った後、通貨安によってV字型回復を遂げ、輸出主導型経済に転換しました。これ以外に日本経済復活への道はありません。アベノミクスの今後を見極める上で必読の書です
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Posted by ブクログ
不動産バブルの崩壊、阪神・淡路大震災、東日本大震災のような国家危機が起こった場合に決まって「円高」が起こる。
この現象は海外陰謀説等がささやかれたり、私にとっては大きな謎だった。この原因が海外との事例比較などで、日本経済の置かれた特殊な状況からこの謎が解き明かされる。まるで推理小説を読む醍醐味が味わえる。犯人は・・・。
また、日本の経済学者や政府はこのような現象をどう見ていたのか?
本来「価格シグナル」はその国の経済の実態を発信するが、日本では「価格シグナル」は何もかも滅茶苦茶であるという。
①為替レートを見ていれば、輸出のチャンスがつかめない。
②国債金利だけを見ていれば、財政改革のチャンスがつかめない。
③実質金利を見ていれば、投資のチャンスがつかめない。
まさに三重苦であり、それがデフレに繋がっていくプロセスもよく分かる。
アベノミクスで今後強力な金融緩和を実施することによって、デフレ克服と円高是正を達成することの意義は、誤った価格メカニズムを正常な状態に戻すことである。もしかしたら、正常な状態に戻すことは、日本経済にとり、かえって不幸かもしれない。・・・ようするに、手遅れかもしれない。
デフレの克服に成功すれば、長期国債の金利は、日本の財政の正確なバロメータになる。ところがそうなった途端にメルトダウンの危機が・・・
しかし、最後にはもう少し楽観的な政策提言を書いているので、ご安心を。