あらすじ
【資源循環をめぐる知られざる大競争】
「資源小国」にもかかわらず国内で日々大量の廃棄物を生み出し、蓄積している日本。サーキュラーエコノミーに対応し国内の廃棄物を資源として再生利用すれば、資源国になれるチャンスが巡ってきたが、対応に失敗すればリサイクル資源にも乏しい国になり下がってしまう。本書は、大競争時代に突入した米中欧のサーキュラーエコノミー覇権争いと日本に残された選択肢を明らかにするかつてない解説書。“日本流”サーキュラーエコノミー実現のための大胆な提言を示す。
【“日本流”サーキュラーエコノミー実現のための提言】
提言1:日本の国産資源を優先して開発、活用、循環させる「国産資源活用基本法」を制定せよ
提言2:国民的議論で日本の国産資源の棚卸をせよ
提言3:日本版メガリサイクラーを創設せよ
提言4:あらゆる国産資源を活用・循環させるモデル地域を創設せよ
提言5:“日本流”サーキュラーエコノミーを人口減少下の持続可能な社会づくりの柱とせよ
提言6:サーキュラーエコノミーに経済合理性をもたらすカーボンプライシングを導入せよ
【目次】
I サーキュラーエコノミーに対応できないと日本は途上国化する
1. 「エコのため」だけではない世界の狙い
2. 日本企業の生き残りを左右
3. 国家の浮沈にも関わる
II サーキュラーエコノミーの覇権争い
1. <欧州>組織力でサーキュラーエコノミーを強力に先導
2. <中国>国家権力でリープフロッグ
3. <アメリカ>多様なプレイヤーが活躍
III 周回遅れの日本
1. 遅れている日本の実態
2. 対応に苦慮する日本企業
3. レアアースショックから学ばなかった日本
IV 国産資源を無駄にしてきた日本
1. 過小評価されてきた再生可能エネルギー
2. 開発されない都市鉱山
3. 夢物語からの卒業が必要な海洋資源
4. 無駄にされた日本の優れた技術資源の数々
V 目指すべきは“日本流”サーキュラーエコノミーの構築
1. 問題は国産資源の価値を正しく認識してこなかったこと
2. 日本の資源を総動員する“日本流”サーキュラーエコノミーを目指せ
3. 逆転の勝機は日本の技術資源の再評価にあり
VI “日本流”サーキュラーエコノミーを実現させる6つの提言
おわりに “日本流”サーキュラーエコノミーで失われた30年を取り戻せ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
東京財団の研究会での議論をベースに政策提言を書籍としてまとめたもの。サーキュラーエコノミーの に係る歴史を概観した上で、特に地球温暖化対策や資源・経済安全保障の観点から何故必要かを説き、日本が技術を持っていたのにも関わらず、政策的な取り組みが遅く、米欧中よりも劣後する現状と打開のための6つの政策提言を行なっている。
まず、サーキュラーエコノミーというワードを存じ上げなかった。必要性として地球温暖化対策と経済安全保障があるが、前者は眉唾のように思う人(トランプ政権)もあるが、後者は事実であり、理解も得られやすいだろう。
本書でも紹介されているが、COPの文脈で2030年の再生可能エネルギーの率で経産省と環境省が争い、環境省の水準を経済不合理と見た経産省の水準が勝ったが、結果としてみれば環境省の水準がグローバルには正しかった。しかし、環境問題としてやらされる(やらなければならない)というロジックよりも、安全保障や成長のために必要というロジックの方が通りが良かったと思う。
実際に高市発言を受けて中国のレアアース輸出規制に至り、経済安全保障上の問題となっている。この意味でいわゆる都市鉱山や南鳥島のレアアースの資源化などが重要となる。
また人口減少社会となる中で成長の原動力として再生可能エネルギー、V2Gによって燃料電池用の水素を生成するといった取り組みはとても重要。
成長と経済安全保障の視点から本問題に取り組み、高市政権が標榜する成長投資や危機管理投資の一環として提言にあるような施策に取り組んでいけば良いのではないか。