【感想・ネタバレ】冷い夏、熱い夏のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

夜中に読み始めて、一気に読み終わった本
お陰で目が腫れぼったい
私たちの親に対する考え方は、はるかに城戸的なもので、人体が決して物体ではなく、主は安らぎを意味する
50歳で死んだ弟の一年ほどの闘病過程を私吉村昭の視点から実のまま描いているのだが、それ自体は特に凄絶と言うほかない内容だ。苦痛にのたうち回る弟の姿にはいたたまれない思いがする

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2019年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本当はハードカバーで読んだんですが,こちらにレビュー。
文庫版も解説読みたいなあ。

吉村昭さんの弟さんが肺癌に侵され,亡くなるまでを描いたノンフィクション。

辛いですね。読みながら何度も涙ぐみました。
これは身内や親類を癌などの病魔で亡くした人にとって,色々なことを想起させるきっかけになる本です
私は祖母が癌で亡くなった時のことを思い出しながら読みました。

吉村さんと弟さんのつながりの深さや愛情が感じられました。時折元気だったときの弟さんの回想が入るんですが,それが病気の描写よりも切ないです。

弟さんの心臓が強いことが,命を存えさせるのに役に立った,との記載があり,私の祖母は心臓が弱かったために,長い間苦しむことなく息を引き取ることができたのが幸せだったねと話していたことを思い出しました。
弟さんの闘病記を見る限り,心臓が強くて存えられることも,結構辛いことだなと感じました。本当に最後のほうは読むのが辛い。

でも,最後は弟さんを看取ることができてよかったなと思います。
私の祖母は,たった数十分,タオルを取りに伯母がその場から離れた間に突然急変して亡くなり,病院関係者しか看取ることができませんでした。ベッドの上で誰かに看取られて息を引き取ることができてよかったね,と話したけれど,最後を看取ることが出来なかった伯母や母は当然のことながら悔いていました。
吉村さんの弟さんは信頼できる親族みんなに見守られながら,息を引き取ることができて,きっと幸せだったろうなと思います。

吉村さんと弟さんの体験を通して,考えるきっかけを与えてくれる本。

きっと誰もが経験する肉親との死別。私もこれから父や母との死別が必ず待ち受けています。その時を考えると辛いですが,この本はそれまで心の片隅に置いておきたいです。

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2011年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

肺癌になり、五十歳で死んだ弟の一年ほどの闘病過程を「私」=吉村昭の視点から「事実そのまま」描い(───引用:解説)た長編小説。
医療技術や、告知の概念など今とは違う常識が興味深かった。

ノンフィクションとは知らずただ小説として読んだが、壮絶。
弟が衰弱し幻覚に囚われ苦しみ死へ向かう過程は胸が苦しくなるようなものだった。だが、「私」と双生児のようなといわれるほどの弟本人に癌であることをひた隠し、兄弟達にも妻にも隠し、悪化を隠し、嘘を言い連ね死の前に自分ひとりで葬儀を手配し、まんじりとしていてもどうにもならぬと仕事に出、弟が病状を悟らぬよう子供達に見舞いを禁じ、弟の友人が会いに来たのを病室に入れることを断りと、もうダメかもしれないとの連絡に何度も夜中に病院へ掛け、とひたすらに続く「私」の葛藤や蓄積する疲労、絶望感がなにより苦しかった。

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2012年02月21日

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