【感想・ネタバレ】ハッピーなトラブルのレビュー

マリオン・レノックス / 花津美子

[hanako · ★★★★★]

自分の生き方を見つける物語

原書の題がA special kind of familyというだけあって、ヒーローは、医者である養父母の下で育ち、自分と同じ境遇のこどもたちを里親として引取り育てている。ヒロインは愛されながら医師になり、思い遣りのある幼なじみとの結婚を期待されている。ヒロインの家族関係をかなり説明を省略してしまったのだけど、ヒーローもヒロインも普通とはかなり違った境遇で育ってきた。それがa special kind of familyで、こんなカタチの家族だってあるんだよ、というのがこの話の中心にある。ヒロインは、みんなからの愛情に感謝しつつも、家族の思い描く人生と彼女の人生に違和感を感じ始めて、自分の道を模索しようとし始めたときにヒーローに出会う。ヒーローは、惚れっぽい母の悲惨な人生を繰り返すまいと、ヒロインに惹かれる自分を必死で抑えている。問題を一緒に解決しながら、お互いに惹かれていく過程がとても丁寧に描かれていて、とても気持ちの良い作品です。さすが花津先生。