あらすじ
禅問答とは辞書には「(1)禅宗の僧がおこなう問答。(2)何を言っているのかわからない問答」とあり、たいてい(2)の意味で使われる。しかし本書では(1)、つまり正真正銘の「禅問答」の、さらにその草分けである『馬祖語録』を取り上げ丁寧に読む。弟子と師の問答。弟子の反応を受けて師は、親切にコメントしたかと思えば、いきなり平手打ちを食らわしたり。読みながら自らに揺さぶりをかける、そんな禅問答37を掲載。
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Posted by ブクログ
大学の先生が馬祖語録を読み解いていく。禅問答を初めて知る人が世界で初めての禅問答集に触れるための手引きといった感じ。定説とは違ってかなり大胆に解釈しているとのことだが、漢文って行間がかなり大きいな。でもその自分の解釈こそが禅って感じ。
Posted by ブクログ
馬祖道一の語録に収録されている「禅問答」を紹介し、わかりやすい解説をおこなっている本です。
著者は、入矢義高が編集した『馬祖の語録』(禅文化研究所)を参照しており、「正直にいうと、この入矢本がなければ、そもそも馬祖の語録を読もうという気にもならなかったとおもう」と述べています。他方で、「あとがき」には「正直にいうと、わたしは「ヒンシュクを買ってやれ」という反抗期の子どものような気分でこの本を書いた」と語られており、テクストから禅機をつかみとろうとする著者自身の試みがそれぞれの解説で大胆に提示されており、おもしろく読むことができます。
禅問答ないし公案について、とくにそのなかに生きて働いている禅機をすくいとろうとする試みがなされている解説書としては、秋月龍珉の『一日一禅』(2003年、講談社学術文庫)があります。ただし、「禅道と禅学の二足の草鞋を履く」ことを標榜する秋月の本が、最終的には読者自身を禅の実践にみちびこうとする意図にもとづいて書かれているためでしょうか、たんなるテクストの「解釈」によっては到達できない境涯を示唆しているように感じられます。これに対して、あくまで「アマチュア」としての立場に立って書かれた本書は、テクストの「解釈」によって理解できることを読者に伝えるという立場に踏みとどまっており、読者としての立場ではすっきりと納得が得られるように感じられることが多かったように思います。