あらすじ
一億人の心臓を鷲づかみにした「神戸連続児童殺傷事件」。審判は終わった。真実は詳らかにされることなく、少年Aは闇の中に消えた――。彼の内なる「酒鬼薔薇聖斗」はいつ、どんな家庭で産声をあげたのか。母親は魔物の誕生に気付かなかったのか。第一級捜査資料に綴られた生々しい「肉声」。少年が初めて語る狂気と虚無、そして両親の慙愧……。今ようやく浮き彫りとなる驚愕の全貌。
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Posted by ブクログ
[重闇]世紀末の日本を震撼させた神戸連続児童殺傷事件。自らを「酒鬼薔薇聖斗」と名乗り、凄惨な殺人を犯した少年はどのような人生を送ってきたのか、どのような問題を抱えていたのか、そして周りの人間は彼をどう見ていたのか......。今なお明かされない側面が多々ある「少年A」の実像に迫った作品です。著者は、ノンフィクションライターとして長年「少年A」に関わり続けている高山文彦。
自分が小学校の中学年の頃に起きた事件だったこともあり、おぼろげな概要は覚えていたのですが、改めてこの事件の深いところを知ると、紡ぐ言葉が見つからない程の衝撃を受けました。と同時に、少年Aの心象の図式化はできても、その心象そのものの把握は決してできないであろうという思いにもとらわれ、そこまで厚い本ではないのに読んだ後にとてつもない疲労感と無力感に襲われました。
本書の本質的テーマとは少し離れるかもしれませんが、個人的に興味を持ったのは著者の執筆動機。その執筆動機により、公的な形では許されない少年Aに関する情報の遺族への提供を、結果として私的なもの(=本書)が行うという形になっており、それにより、少年犯罪に関わることになってしまった人々がそれぞれ有する(べき)権利について、読者に考えさせることへとつながっていると思います。
〜Aは私たちにとって近親憎悪をかきたてさせる、もっとも親しい隣人だったのである。〜
重い。本当に重い☆5つ
Posted by ブクログ
様々な資料を元に作成された本作は酒鬼薔薇の生い立ちが非常に分かりやすく書かれている。
本書から読み取れるのは、酒鬼薔薇が凶悪ということではなく、環境によっては誰にでも酒鬼薔薇になる可能性があるということ。
この本がキッカケでノンフィクションに興味を持つことが出来ました。
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家庭、社会と少年心理について、ニュース等では知らなかった内容も出ていた。何が原因で、何が悪かったのか。正答はわからないが、読んで考えさせられる一冊であった。
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「その家もまた、高台にたっている。」
という書き出しで始まる、高山文彦氏の、
神戸連続児童殺傷事件のルポ第2弾です。
この本もまた、すばらしい。
第1弾の地獄の季節の発売が、1998年2月ですが、
それから8ヶ月後の1998年10月に発売されたものです。
予断ですが、両方とも、文庫版で2001年に発売されているので、私はそちらを読みました。
この本は、事件の舞台となった、
神戸須磨についてのレポートが多いのが特徴です。
その土地との関連性について、考察している部分があって、それが興味深いです。
また、両親の著書に、少年Aと父親が、
父親の実家である、鹿児島の奄美のどこぞの島に行ったときに、当時誰も住んでいなかった、
父親の実家をみて、
「将来はここにすんで…」
みたいな事を言っていたと書かれているのを読んで、
その島にも取材に行った様子が書かれています。
うる覚えですが、少年Aは、その場所にお店をつくって便利にするんだ、、、とかいっていて、
「大変奄美が気に入った様子だった」ということです。
なんか、その気持ちも、すごくよくわかるから、
少年Aの犯した罪が、よけい悔やまれる。
犯罪史を揺るがせた「酒鬼薔薇」
四半世紀前に発生しました「神戸連続児童殺傷事件」、犯人が当時14歳の少年だっただけに世間を震撼させましたし、「少年法改正」のきっかけにもなりましたね。これらの事件が発生してから間もなく「光市母子殺害事件」が発生しまして当時18歳の少年でした犯人の「福田孝行」の死刑が確定しましたし、先日も「甲府殺人放火事件」の犯人の遠藤裕喜被告に対して「特定少年に対しての初の死刑判決」が言い渡されましたね。さらに半世紀前には英国で「メアリー・ベル事件」と言う「11歳の少女による連続殺人事件」が発生しましたね。これらの少年少女の共通点は「不遇な幼少期」でして、第2、第3の「酒鬼薔薇」や福田孝行死刑囚や遠藤裕喜死刑囚や「メアリー・ベル」を生まないためにも「計画的に子供を産んで責任を持ってきちんと教育する」事は非常に大事ですね。
あの事件の衝撃は忘れられません。少年Aに関する本を読んだのはこれが初めて 彼の育歴、背景等々ここまで詳しく知るにつれ逆に何故?どうして?そこまで彼があの様な猟奇的な事件を起こしてしまったのかが益々わからなくなりました。そして一番影響のある母親の肝心な心が見えて来ないのが残念です。
一気に読めました
自分がもっと感情的になると思ったのですが、読み終わるとそうだったのかと
変な納得をしてしまいました。
子供とは心も身体も本当に未発達なんだと改めて気づかされました。
大切な時期をどう過ごすか、何を与えるかでこうも違うのですね。
母親としてとても勉強になりました。
Posted by ブクログ
母親が悪いとは書いてはいないが、それを匂わす文章が多い。
少年Aの精神面は確かに母親の影響も大きかったと思うが、それ以上にもっと大きな何かがあった気がしてならない。
しかし少年Aを一番客観的に見た書籍はこの本だと思う。
Posted by ブクログ
こういうドキュメンタリーは当たりハズレが大きいが、
これは事実を淡々と描いている印象。
周辺事実はいろいろと勉強になったが、
この少年の内面はやはりわからない。
Posted by ブクログ
あの事件はおそらく何かの分岐点であっただろうと思う。もう二十年も前になるというのに、多くの者が今だに投げかけられた問いに答えられないでいる。この書は核心にできるだけ肉迫しようと心血を注いだ1冊であろう。しかしその努力は認めるとして、Aを止める術はなかったのか、なぜ犯行をあそこまでエスカレートさせなければならなかったのか、Aは特別の存在として切り捨てることはできるのか、闇は変わらず闇のままである。
Posted by ブクログ
震撼した事件だったが、この本を読む限り誰にでも少年のようになってしまう危うさがあるのではと感じた。思春期は怒涛の時代、とはいうけれど過ぎてしまえば忘れている事もある。その忘れていた何かを呼び起こされる部分もあっただけに後ろ暗い気分になった。公表されない裁判記録もあり本質はわからないが、たとえ公表されてもやはりわからないのかもしれない…
Posted by ブクログ
事件現場近くの住民・捜査関係者への取材、捜査資料、現場付近の取材を通じて得られた情報をもとに書かれている。時系列で事件当時の出来事、少年Aの行動・言動が追われており、戦慄を感じる。
Posted by ブクログ
あんまり「少年A」について知らなかったし、少年心理みたいなのに興味があったから読んでみた。なかなか良くできたルポで、興味深く読めました。少年Aはかわいそうな少年だと思ったし、自分も人を殺すかもしれないな、と思いました。
Posted by ブクログ
被害者の心情を考えると「この手の本は!!」ということになりますが…。
全てが正しいかはわかりませんが、少年Aの心情がよくわかりました。
少年法。
なかなか難しいですが、やはり少年であろうと障害者であろうと重大な犯罪を犯した場合は重罪に処すべきだと個人的には思います。
Posted by ブクログ
育った環境、家族の風景、凶行とその前夜、家族。行動やできごと、会話の内容を綴る。
事件を知っているだけに、偏見なく書くことも、読むことも難しいです。
Posted by ブクログ
「神戸連続児童殺傷事件」の犯人「少年A」に関するルポルタージュ。
少年犯罪に関する本は多くあるけれど、その報告の中にいつも欠けていて不思議に思っていたのが「思春期の性」についてだった。
大人はいつも「そんなことはありませんでしたぁ」みたいな顔をして思春期のグダグダ状態を、忘れてしまったのか、口を閉ざしているのか、語らないけれど、思春期における犯罪を考える場合に、「性」を抜きにして考えるのはどうみても無理があるだろう。
その点、本書は専門家による鑑定に「性」についての調査がなされ、「結果」が報告されている事が画期的だ。
というより、専門調査では当然のごとく「性」についても調査しているが、その部分には巷の報道ではふれていないという「報道の”闇”」が問題なのかなと。
”ノーマル”な性というものが社会の中でどのように形作られていくのかを考えるのに参考になるものだったな。
Posted by ブクログ
多分この少年Aは子供の頃相当寂しかったんだろうな。1歳の時自我が芽生えるまえに弟が生まれ、しかもその弟は喘息持ちで母親は付きっ切りでいなきゃいけない。十分に甘えられず、しかも自分は長男だからという理由で叱られる。こんな理不尽なことはないとおもう。
こういう事件が起きると被害者やその家族がかわいそうだって思うけど、この少年や他の事件の未成年も運命と混沌とした社会により加害者にされてしまいった被害者なのかもしれない。だからちゃんとどうしてこういうことしたのか、どんな家庭環境にいたのかをきちんと知って、社会が抱える問題を解決していくべき。
これを読むと少年法は正しいのだろうと思えてくるけど、被害者家族からしたら更生して社会に出るなんてとんでもない話だと思うけど、国際的に18歳未満の死刑は禁じられてるから死刑はできない。うーん難しい。
Posted by ブクログ
筆者が集めた情報、実際に足を運んでみた風景などを織り交ぜて、物語のように読める本。
当時は被害者の審判傍聴制度などもなく、今とは状況が異なっていた。
この事件が社会に与えた影響は、大きいと思う。
知っておく必要がある事件。分量的にも読みやすかった。
Posted by ブクログ
実際にあった神戸連続児童殺傷事件の少年のお話です。
どんな少年だったか、どのように犯行が行われていったのか等が書かれています。
少年の両親の育て方なども少し読むことが出来るかもしれません。
しかしこの本とて著者の想像で書かれている部分もあると思います。
私はこの事件を知っていたので、この本をよんでみようかなと思いましたが
事件を知らない人(生まれてなかった人)にも是非知ってほしい事件だと思います。
少年犯罪が問題になってる今こそ読むのにいいかもしれませんね。
Posted by ブクログ
少年A、彼がなぜあんな事件を起こしたのか?彼はどんな人なのか?彼のまわりの人たちはどんなだったのか?等々
彼と彼をとりまく何かとは何なのかを知りたくて、この本を買いました。
私が驚いた事は、むごい殺戮をした人物であるけれども、死について深く考察していた人でもあることだ。
人間とゴキブリ、素晴らしい人間と忌まわしいゴキブリ、ゴキブリ以下の人間、人間以上のゴキブリ
ゴキブリは人間以下なのか?人間以上なのか?それとも同等か?
人の命とゴキブリの命、ゴキブリも人間と同じひとつの大切な命か?
それとも、人間もゴキブリと同じくだらない命なのか?
ゴキブリと比べるなんてヒドイ!
一瞬でもそう思ったのなら・・・、もう一度考えてみませんか?
Posted by ブクログ
そこまで言っちゃっていいのかと思った。いささか少年Aを擁護しすぎな気もする。仮定にしては逞しすぎる想像も覆い。筆者が気取りすぎだとも思う。
そしてまた、この本を見ていると異常犯罪犯と芸術家は紙一重だという言葉が頭から離れなかった。狂ってみた時、狂ってしまった時、彼(彼女)はほんの小さなことで、どちらにも転ぶ。芸術家の中には「普通」に従うことは出来るのにあえて従わない者や、芸術家にとって命にも等しい芸術性を損なわない為にあえて自分の異常を治さなかったという者もいる。周りと違う感性は芸術になるうる。私は芸術家(作家)になりたいのだが、確かに狂わなくなることを恐れる節もある。それはエネルギーでもあるから。
話が飛んだが、これが事実なら、少年Aは社会に出てももう問題のない人間(自分の中でバランスをとって共存している人間)になっている。しかし、これからもその不安定さ故に異常犯罪の犯人となる人は生まれ続ける。作中にあったように、やはりこれは人間が生み出した、夜も無理に明るくするような自然生活に背いた科学の影響があるように思えてしまう。
Posted by ブクログ
高校生か大学生のときにふらっと手に取った本。あの事件を色々な視点から調べていて、客観的な知識とはなりました。他にも加害者少年の両親が書いた本もあったけれど、あれは言い訳本ですね。