あらすじ
「平均年収300万円台」の時代がすぐそこまで来ている!
元ゴールドマン・サックス証券のエコノミストである村上尚己氏が、日本経済の問題を「日本人の給料減少」「日本経済が貧乏になった」という切り口で見ていくビジネス経済書。2000年までは世界第3位だった日本人の収入(=日本の一人あたりGDP)は、最低のときには世界19位にまで転落した。日本人の平均給与の推移を見ても、ピーク時(1998年)467万円から2011年には409万円にまで減少している。
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Posted by ブクログ
マネックス証券のチーフエコノミストによる円高・デフレがどうして続いてきたか、どうすれば解決するかを世に問う一冊。
基本的にはこれまでの日銀がいかに日本経済にとって弱体化させる方向に施策を行い、それをまるで正しいことのように言い募ってきたかをこれでもかと完膚なきまでに叩きのめし、それと全く逆の施策によって日本経済が劇的に改善していくと、豊富なデータを使って示していく。その中には新聞や書籍などでいかにもその通りと言ってしまいそうになる説(例えばデフレの正体の藻谷氏の説など)を唱えている人に対しても、それを覆す事実を示すことによって否定していく部分もあり、これまでなんとなくわかったようなわからなかったような、モヤモヤしていたものがスッキリと解決していく様は爽快ですらある。
円高がなぜ悪いのか、を説明した部分は計算が全く逆で、その説明だと円安の説明になっちゃうよ、というところもあって、チーフエコノミストとしては恥ずかしくないかと思えてしまうが、それ以外はいろんな疑問がストンと腹に落ちるように書かれているため、金融リテラシーを高めるためにも、世に流布されているトンデモ論を見破るためにも一読をオススメできる一冊だと思う。