あらすじ
※紙書籍に収録されている一部の絵画は、電子版では収録されていません。 日本人は、見えないものを心で感じる美意識や感性を、本来持っている。視覚だけでなく、五感のすべてで対象を感じるのが日本人なのである。(本文より引用) 「ものごとはすべてリッチでなければならない」――資生堂初代社長・福原信三の言葉は、いまも受け継がれ、多くのアーティストを生み出す資生堂文化の礎となっている。さて、リッチとは何か。それは、金銭的な価値ではなく、心の豊かさ、心の贅沢といった、広がりのある本質的な意味である。自由に使える一日。好きな本を読む時間。美しいものに触れるひととき。「究極のエレガンス」でもある。本書では、文化や歴史に学びながら、音楽、美術、映画や舞台、生物や自然のなかに潜む、リッチなものを取り上げる。本来、日本人が持っていた見えないものをみる感性、美意識を取り戻すには、どうしたらいいのかを読み解く一冊。
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Posted by ブクログ
便利さは得られたけれども,そのかわり感性は失われたということは間違いないと思う。わずか30年しか生きていない僕でも,幼少期に比べて四季を感じなくなったと思う。本物に触れることの大事さを学べました。
Posted by ブクログ
文化とはよりよく生きようとする人間の創造的行為、目に見える過程とのこと。芸術とは文化を背景にした成果物。
美は人間が人間として生きていくために必要なこと。
Posted by ブクログ
四季の変化に対して極めて繊細な感覚を持っていた日本人。詩人の高橋順子氏によれば日本には2,145もの風を表す言葉がある。時津風、芋嵐、夏疾風、薫風、比叡おろし・・・。雅味あふれる言辞だが今やほとんど使われていない。語彙が急速に失われている。著者は文化の衰退、文明の衰退を憂う。今こそ人間が人間らしく生きていくための感性を取り戻す必要があると訴える。日本人の本来豊かであった感受性を取り戻す方法は、自然に触れること、美に触れること、本物に触れること。自然は、私たち人間の生命力を養うと同時に想像力の源ともなる。フランスの詩人、ポールクローデル氏は1943年、日本の敗戦が濃厚になってきたとき、どうしても滅んでほしくない民族として日本人を挙げている。「彼らは貧しい、しかし高貴である。」と。経済優位性を失いグローバル社会の中に埋没しつつある日本。日本人が高貴さを取り戻し、存在意義を高めるのは、ひとえに私たち一人一人の生き方。これにかかっている。