あらすじ
世界中に『いま、会いにゆきます』を始め、自分の作品が広まっていく、その伝播力の源はどこにある? 植物群で埋め尽くされた理想の自宅に優雅に引きこもり、眩暈と幻覚に揺蕩いつつ、屋内を黙々と走り続ける…。アジア各国からハリウッドまで、世界と直接繋がる作家が綴る、静かな非日常的日常。解説 品川裕香
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
近所の商店街に最近できたセレクト本系の書店さんでお見かけして、読んでみました。
市川拓司さんの書籍は初めてでした。
どうしても"発達障害"と聞くとまだまだ社会や周囲からはネガティブに捉えられたり、何かしら支援が必要なのではと窓口を廻ったりという印象が強いかもしれませんが、本作中における市川さんの、何の変哲もないことであるかのように/ごく当たり前に/ありのままにご自身を、発達障害だから自分はこういう特徴があって、こういう工夫や対策を行なっている、面倒臭いでしょう?とでもいうようなあっけらかんとした至極自然に捉えられていらっしゃる姿が、とても素晴らしいと感じました。
当の私もASDの診断を受けているので市川さんと診断名としては同じことになりますが、具体的な特性や困りごとについては、非常に共感できるものと、あまり重ならない点とが入り乱れていて、あぁ本当に十人十色なんだ、ひとりひとり異なるのだ、と改めて実感できました。
個人的なメモに近いですが、以下に共感できた点を、備忘録的に箇条書きさせていただきます。
ーーーーーー
・ひどい目に遭わされた人間への「恐怖心」はいつまでも消えなくて、そのことは決して忘れない。なので常に用心して距離を置くようにしている
・「ASDは恋に落ちるのではない、相手に命懸けで懐くのだ」
・ASD的特性から、僕は自分から誰かに声をかけるということをほとんどしない。かなり内向的で閉じている。しかし諍いを避けたいという防衛本能からなのか、声をかけてきた人間には愛想良く振る舞おうとする。
・集団欲がなく「生まれながらの民主主義」体質なために、怒りはむしろ一般の人よりも遥かに感じにくくできている。だけど僕は怒りを感じるべき場面で、概ね悲しくなる。なぜ人ってこうなんだろう?と悲しくなる。怒りがなく、代わりにとびきりの不安を加える。
・僕は閉じた人間なので、視界に人が来ると、それだけでストレスを感じてしまう。
・僕は自分の言葉で他者に行動を促すことが苦手なために、人に物を頼むことができない。徹底して不干渉でいかにも自閉的な体質だ。
・似たような夢をずっと昔から繰り返しみてきた。隕石や輝く飛行物体。あと大型のジェット機が墜落する夢もよく見る。
・一度やると決めたことはいくらでも続けることができるって性格は、ASDに依るところが大きいと思う。「習慣を変えたがらない」「こだわりが強い」
・外見的特徴。すごく痩せている。首が長く、手足も長い。髪がくるくるの天然パーマ。
・僕はとにかく人の攻撃心が怖い。怒り、憎しみ、妬み、権威的な威圧、全てが恐ろしい。そんな感情を露わにするひとを見ると、それこそチビりそうになる。こういった感情は僕らに底知れぬ恐怖を呼び起こす。未知なるものへの恐れ。異常な行動を目にした時の気味悪さ。
・「愛妻家」「真のマイホーム主義」妻、親、子供とのつながりは大切にする一方、それ以外の人とは積極的に交流を持とうとしない。
・僕の背中には数本の固くしこった筋が走っている。「すじゴリ」。結構深いところにあるので、かなり強く押さないと届かない。それを押されると、何とも言えない快楽が全身を貫く。
・ストレスというのは人の生を損なうので、それもできるだけ感じさせないようにしたい。なので言い争いはしない。
ーーーーーー
これだけ多くの共感できる本に、お方に出会うことができて、私は救われた思いがしました。