あらすじ
【サントリー学芸賞受賞】 意識の成立過程を追い「心」の全体像を探る。他者の心の存在によってはぐくまれる意識は、脳や心とどのようにつながっているのか。認知・脳科学の最新研究をふまえ、人間の存在の本質にスリリングに迫る。(講談社現代新書)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ヒトには、信じたいこと、望んでいることを確認したい欲求がある。人々の大半は、自分が平均以上に知能が高く、平均以上に公平であり、平均以下の偏見しかもたないと思っている。
「誰でも自分が優れている(まともである)という証拠を欲しがっている、はじめからそういう証拠だけを探し、それに反する証拠に出会っても、無視するか、すぐに忘れる」また対話や討論の場面では、失敗を(また成功もある程度)目の前にいる他人に帰しがちな傾向がある。
人は常に入手できる手がかり、特に目につきやすい手がかりに原因を帰してしまいがちだ。手がかりがあるとか、目立つとか言うときに、そこにはすでに動機要因が強くはたらいている。人は与えられたすべてをみてから動機をはたらかせて選ぶのではなく、動機の文脈に沿わないものは「最初から見えない」のである。