【感想・ネタバレ】裸足で逃げる ――沖縄の夜の街の少女たちのレビュー

あらすじ

打越正行『ヤンキーと地元』とともに沖縄の語り方を変えた、比類ない調査の記録。
累計3万部超の傑作に、13000字の文庫書きおろし「十年後」をくわえた決定版。

それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから、必死で最善を選んでいる。それは私たち他人にとっては、不利な道を自分で選んでいるようにしか見えないかもしれない。上間陽子は診断しない。ただ話を聞く。今度は、私たちが上間陽子の話を聞く番だ。この街の、この国の夜は、こんなに暗い。
――岸政彦(社会学者)

沖縄に戻った著者は、風俗業界で働く女性たちの調査をはじめる。ひとり暴力から逃げて、自分の居場所をつくっていく──彼女たちの語った話は著者の手で書き起こされ、目の前で読み上げられ、自己の物語として了解されていく。沖縄の話であり世界の話でもある、比類ない調査の記録である。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 キャバ嬢になること/記念写真/カバンにドレスをつめこんで/病院の待合室で/あたらしい柔軟剤 あたらしい家族/さがさないよ さようなら
 まえがきから泣いていた。十年後が収録された文庫版で読めてよかった。上間陽子さんの他著書、すぐ購入しました。また自分の人生において応援する方が増えた。

0
2025年12月25日

Posted by ブクログ

少し前に、白血病で亡くなられた打越さんのことを書いた文章を読んだ。
その時に、本屋大賞のインタビューの、独特の間と、語り口を思い出して、この本に出会った。

沖縄の女の子たちの、もがきながら生きている様子が綴られている。
まるでドラマみたいな内容だから、ストーリーを追うように読んでしまって、時々あらわれる上間さんの涙で現実に戻る。

語り手もまた、語りながら、夜を過ごしている。
怪我をしたり、頼れる存在がいない中で、生きている女の子を目の前にしながら。
だから、柔らかい聞き手のようで、割とバシッと強いところのある上間さんが、この本には、いる。

一つ気になったこと。
この本は、様々な女の子のインタビューがまとめられている。
その中で、重なる父親像がある。
娘に何かあった時、そういう、はっきりさせた方がいいというようなことを、父親が言う。
それに対して娘の母は、世間に知られるとこちらも困るから、やめて欲しいと抑える。

このパターンを、何回か見た。

父のいる社会と、母のいる世間が、チグハグで。
そういう、ソトとウチの感覚も、沖縄は独特のものがあるんだろうな。

また、上間さんが本を出したら、読みたい。

0
2025年12月25日

Posted by ブクログ

10代で妊娠、出産。夫からのDVから逃げて生きていく方法もわからない少女。売春を斡旋していた男を好きになった少女。家庭が崩壊していて、学校にも居場所がない中学生は、つながりを求めて外へゆく。タバコを買ってもらうため、見知らぬ大人に声をかけ、セックスをする。そんなふうに、道を踏みはずした少女は、もう、普通の生活に戻ることはできないのか。基地のある沖縄では、そのような形で、未成年で風俗業で働くようになった少女が、他県よりも、多いのだという。あっという間に大人になっていく女の子。性暴力を受け、堕胎を経験し、夜の世界で働きながら、新しく出来た命を守ろうとする。そんな子が、まだたったの17歳だったりする。

最後の話、彼氏に売春をさせられていて別れた少女、新しく出来た恋人に過去が知られるのが怖いという彼女とは、その後連絡が取れなくなったらしい。今どうしているだろうか。

文庫化にあたって書き足された十年後、貧困ビジネスに騙された話は、必死で生きている女の子たちのことを思うと、悔しさしかなかった。

0
2026年03月02日

「社会・政治」ランキング