あらすじ
アジア・太平洋戦争による壊滅から経済大国化し、不動の国際的地位を築いたものの、「失われた30年」で低迷する日本。
豊かにはなったが、所得や地域間の格差、世界の〝最先端〞を行く高齢化、少子化など「課題先進国」とも呼ばれる。
本書は、この戦後日本の軌跡を描く。
特に東アジアとの関係、都市と農村、家族とジェンダーといった、大きく変貌した関係性に着目。
マクロとミクロの両面から激動の80年を描いた日本現代史。
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Posted by ブクログ
勉強になった。この一言に尽きる。
よくぞここまでコンパクトに、そして的確にまとめてくださった。まずは、そのことに感謝したい。
戦後の歴史というのは、中学・高校の社会科の教科書でも最後のほうに少し載っている程度で、きちんと勉強した記憶がない。だからなのか、戦後史についての知識はかなり浅い。
そんな私のように、大人になってから改めて戦後史を学び直したいと思った人にとって、本書はうってつけの一冊だと思う。もちろん、中高生が手に取ってもいいだろう。
本書を読む前に、ひとつ懸念していたことがあった。
戦後史という、これだけ中身の濃い歴史を、はたして新書一冊にまとめきれるのだろうか、ということだ。
実際、読み始めてみると、一つひとつの出来事や事件について、こと細かく掘り下げているわけではない。とはいえ、これは当然といえば当然である。ひとつひとつを丁寧に描いていたら、とてもではないが、この限られたページ数には収まらない。
しかし、だからといって、本書は単に出来事を年表のように時系列で並べているだけではない。
その時代の背景や文脈を踏まえながら、出来事を地続きのものとして描いている。
だからこそ、「あの出来事があって、次にこうなった」という歴史の流れが見えてくる。
歴史には因果があり、それが連綿と続いて、今の日本につながっているのだということが実感できる。
そして、これは少し大げさかもしれないが、「当時の人々の暮らし」まで、なんとなく見えてくる。
歴史というと、どうしても政治家や政党、戦争や事件といった大きな出来事に目が向きがちだ。しかし、その時代を生きていた普通の人々が、何を考え、何に悩み、どんな生活を送っていたのか。そうしたものまで感じ取れるところが、本書の面白さだと思う。
もし読書中に、当時の出来事や専門用語について「もう少し詳しく知りたい」と思う箇所があれば、AIを活用してみるのもおすすめ。
気になった疑問をその場でAIに問いかければ、すぐに調べることができる。わからないことをそのままにせず、一つひとつ補足していくことで、より深く戦後史を理解できる。読書体験がぐっと豊かになる。
今の日本は、いったいどのような歴史をたどって、ここまで来たのか。
小説の主人公を「日本」という一人の人間だと捉えるなら、本書は、その「日本」という主人公が戦後、どんな経験をし、どんな出来事に巻き込まれ、どう変化してきたのかを描いた物語ともいえる。
そう考えて読むと、最高に楽しめる一冊である。
Posted by ブクログ
「戦争を知らない子供たち」というフォークソングの名曲があります。戦後の高度経済成長の到達点のシンボリックイベント1970年の大阪万博で初めて披露されたそうです。曲名が意味するのは「戦争を知っている大人たち」が社会のメインストリームであり、彼らに対する自己主張だったのだと思います。それから55年、二度目の大阪万博を経て「戦争を知っている世代」は静かに社会から消えようとしています。「戦争を知らない子供たち」も最早老人です。それは「戦後」という言葉に体験とか体感が無くなり、単なる時代区分でしかなくなる、ということだと思います。まるで弥生時代とか江戸時代とか明治時代とか、のような感じ…。いまや「戦後」は歴史なのです。その歴史を鳥瞰図的に捉えつつ、虫瞰図のように細かいエピソードを繋いでいく本です。去年から続けている戦後80年読書の集大成でした。「戦後」という時間を地図にしたら、というような分かり方が出来る新書でした。そして今度の選挙の争点の根っこもこの地図の中にあると感じました。そして「ポスト戦後」もこの歴史から生まれるのだとも。