あらすじ
モノモン教、アーミッシュ、ファンダメンタリズム……。アメリカはさまざまな「信仰」がせめぎ合う社会である。それらを統合するものとは、いったい何か? 悩みつつも、新たな理念を求めて進む、超大国の意外な姿をあぶり出す。(講談社選書メチエ)
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Posted by ブクログ
とても興味深い本だった。
アメリカ大統領が政治的最高権力者と同時に精神的指導者という立場でもあるということは、全く思いもよらなかったが、TVでアメリカ大統領選の活動に国民が熱狂してるシーンが放送されるのはそういうことかと納得。
アメリカの政教分離が「政治と宗教の分離」ではなく「教会と国家の分離」である点にも注目。アメリカは私が思っている以上に宗教的な国であることが分かった。
☆「共通の過去」を持っていないため「未来についての共通の意志」がアメリカを統合する。
☆多様な背景を持った人々が共に生活する緊張の多い社会の中で、教会は同質の人々と交われる安らぎの空間。
Posted by ブクログ
イラク攻撃が迫る中、なぜ米国があそこまで拘るのかと不思議な気持ちさせしますが、この本を読むと謎の一部が解けるように思われます。米国には市民宗教(著者はそれを見えざる国教と呼ぶ)があり、それが国としてのアイデンティティーを保つ基盤になっているとのこと。それはプロテスタント・カトリック・ユダヤ教の誰でもが受け容れられる「神」を信仰する。レーガン、ブッシュ(父)、クリントンの演説に登場する宗教的な発言が日本のマスコミでは「修辞」として削除され報道されるために日本ではわかりづらいという。なるほどという感じ。そして今はイラクですが、歴史上、インディアンとの闘い、旧大陸との闘い、メキシコ戦争、対スペイン戦争と同じ理念の闘いが繰り返されてきている。確かに神という発言は出てくるが、イエス・キリストとは大統領は言わないという。それはユダヤ教にも配慮しているからだという。クリントンの就任式の式次第を教会の礼拝式次第と比較し、そのままであること。そして、聖地ワシントンにおけるワシントン、ジェファーソン、リンカーンの3大統領の記念碑は米国の3聖人を示す、即ち、3人は預言者モーセ、聖典執筆者者パウロ、殉教者を象徴している。