【感想・ネタバレ】身を捨ててこそ 新・病葉流れてのレビュー

あらすじ

破滅と紙一重の博打に勝ち、齢二十三にして四千万の金を得た梨田雅之。代償として極道に襲われはしたが、雀荘で出会った砂押という男の導きで広告代理店に勤めることに。時代は激動の昭和、経済は右肩上がり。だが、その波に乗らない彼は、新たな刺激を欲して社会の裏街道への扉を開けてしまう……。自伝的賭博小説『病葉流れて』新章開幕!

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師匠との出会い

危うく命拾いした主人公、不思議な巡り合わせで博打の、いや人生の師匠に出会い、新たな女性たちとの出会い成長していく

私にはこんな師匠はおらず自力で痛い目を見つつ競輪を覚えたクチですので師匠を持つことを羨ましく感じます
作者も他界しましたが今の競輪をどう思っているのか、聞いてみたい気がします。

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2020年12月25日

Posted by ブクログ

病葉・梨田雅之が帰ってきた―。この衝撃的な事実を知った時には全身に衝撃が走りました。ここでは身も震えるような勝負は影を潜め、砂押をはじめとする新しい人物たちとの『出会い』に焦点が置かれています。





病葉・梨田雅之が帰ってきた―。この話を聞いたときには全身に衝撃が走りました。彼は前作のラストで、先物会社社長である辻野一派にわき腹を刺されたところで終わっていたからであります。

すんでのところで一命を取り留めた梨田は長期の入院生活を余儀なくされます。暇をもてあました梨田は病院を抜け出し、ふらりと立ち寄った雀荘で一人の初老の男に出合うことになります。彼の名は砂押学。

幾多の修羅場を潜り抜けた梨田でさえもたじろぐオーラを持つ砂押に見入られ、彼のことを師匠と呼び、ともに梨田は大阪を離れ、慣れ親しんだ東京に戻ることになります。

しかし、それ以前に彼を麻雀をはじめギャンブルの世界にいざなった永田は梨田に『もうギャンブルはやめる』と電話で彼に伝え、ここでひとつの別れが存在します。

東京に入って住まいのない彼は、そのまま砂押の家にしばらくの間、暮らすことになります。

大阪で出会った頃のたたずまいからは想像もできないほど瀟洒な家に住んでいた砂押の家は戦争で財を成したいわゆる『政商』であり、砂押自身は戦争に行っても彼の父は戦争を利用して財をなす。それに嫌気をさした彼はそれをきれいさっぱりくだらないことに使うと決心したというのでした。

梨田は砂押の紹介で広告会社のTエージェンシー(わかる人にはわかりますね)に勤める事となります。配属されたのはマーケティング部で、ここで梨田は社会の仕組みを教わっていくこととになります。

まわりには一癖も二癖もある男たちがおり、海千山千の梨田も彼らの生態をつぶさに観察しつつも、広告代理店の仕事と、砂押との付き合いに終始していきます。

ここでの展開は後に恋仲になっていく水穂との出会いでしょう。彼の女性遍歴でもハキハキしたところは彼女しかない個性があって、物語に彩を添える存在でございました。

やはり、最大のハイライトは末期のガンで自らの余命がもうあまり残っていないと告白した砂押がなぜ、梨田をそんなに気にかけたのか、ということについて『死の床』で梨田に語りかける場面で、ここに関してはご自身で確認をしていただけるとありがたいのですが、梨田は終戦時に生まれ、日本がどうなっていくかを見ていける―『病葉』というものを梨田の中に見つけ、彼を導こうとした砂押と、彼の『遺志』を引き継ぎ、激動の昭和という時代を梨田雅之という男がどう生きていくのか。今後も展開に目が話せません。

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2013年04月17日

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