あらすじ
同じ中学に通う親友・直海の祖母の住む、浅草の家を訪問した倉西美波。落語の名人の妻だった彼女は、今でも弟子の面倒をみている。二人が訪ねたときも、ちょうど稽古の最中だった。突然の来訪も歓迎してくれた彼女は、お茶うけを出そうと台所へ向かうが、そこには近所の男の子が忍び込んでいた! 家主に見つかった少年はあわてて逃げようとするが、かなわないと見て、思いもよらぬ行動を……(表題作)。周りで起きる奇妙な事件の真相を、「水島のじいちゃん」は華麗に解き明かしていく。修矢編二作、美波・直海編二作に、書き下ろしのかのこ編一作を含む、ライトな本格ミステリ短編集。好評《美波の事件簿》シリーズ、前日譚。
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シリーズ4作目で初の連作短編集。前日譚です。
今までの長編はそれなりやなあと思てましたが、これは好き。
連作短編集やからかな??
また同じようなものも出そうらしい。楽しみ。
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一見関連性のない事件の数々、本編で、主人公とその周りの人々が関係するまでが描かれていてとてもわくわくしました。読みながらあれこれと想像できるのが楽しかったです。
まだ彼らが未熟な頃、本編では故人となっている、彼らの共通する人物が初めて出てきて、ようやく、彼らを繋いでいたものがいかにすごい人物であったかが分かって、本編がさらに面白くなる短編集でした。
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四作目は短編集。主に幼いころの美波や修矢を主人公に、本編では故人の水島のおじいちゃんが探偵役となって活躍しています。
まだまだツメが甘い子供修矢に、にやにやしてしまいます(笑
短編は死人が出たり出なかったりな展開ではなく、いわゆる日常の中のミステリーです。こういうのをなんて言うか、ちょっと忘れてしまいましたが(汗
作品が多いので一つ一つの紹介は避けますが、手焼き煎餅は題が可愛らしくてお気に入りです。
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シリーズものの番外編で、第0巻という感じでした。題名に惹かれて手に取っりました。短編連作になっていて読みやすかったです。
キャラクターがしっかりしていて、このシリーズのほかの作品は読んだことがなかったけど分かりやすかったです。
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美波の事件簿シリーズの連作短編集。日常の謎というにはちょっと事件色が強すぎる気もしますが、きちんと型に則っているのが嬉しいです。表題作のタイトルの意味がすごく好きです。また探偵役を本編とは違ってひとひねりしているのが面白いです。初登場した登場人物のうち水島のじいちゃんは無理だけど、麻耶先輩は本編に顔を出してくれないかな。それにしても各章毎の挿絵にはびっくり。連載のときの挿絵がもったいなかったという気持ちはよく分かるし嬉しいのですが、東京創元社さん、これでいいの?と要らぬ心配をしてしまいました(笑)。
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読み終わりましたv短編集で読みやすかったです。
それにしても、修矢は本編ではもっとクールな印象が強かったのですが…。本編では大学二年生。短編では高校二年生。
ん~。年齢の面もあるのかなぁ、なんて(笑)
しかし最後の「この短編はすべてつながっている」というような編には驚きましたねぇ。なんとなく、引っかかってはいたのですが、見事に騙されました(笑)
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美波の事件簿シリーズの前日譚。
前日譚であるゆえに、こちらを先に読んでも何等支障は無いのですが・・・・・・。
個人的には、今あるシリーズを読後にこちらを読む事をお勧めします。
最後の、ああ来たか!!という楽しみにもう一つの楽しみが加味されるので。
内容については敢えて触れません。
カバーのイラストが雰囲気を伝えてますので、手に取ってお試しあれ。
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美波の事件簿シリーズの4作目。
シリーズの前日譚短編で描いてます。
シリーズにおいて美波が置かれた状況がどのように作られたのか。そういった少し過去の話が、様々な謎とともに語られてます。
シリーズを知らなくても読めますが、知っていればより深く読めます。
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私は読んだことがないのですが「美波の事件簿」という
シリーズの登場人物達が活躍する連作短編集です。
彼らの、少し幼い頃のエピソード、と言う事で
前日譚、と位置付けられていますが、シリーズを
未読でも、充分楽しめるようになっています。
ミステリとしては軽く、トリックも単純。
ちょっと無茶では?と感じたり、説明はしょりすぎ?と
感じる部分もありました。
でも面白いのは面白かったです。
あと、全編通して猫や犬が登場してきて心は和みました。
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シリーズ物の前日譚ということですが、前3作品を読んでいてなんぼって印象を受けてしまいました。
それと、少なくともこの作品の文章は自分にはちょっと合わなかったかな(初読の著者なので他作品は分かりません)。
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短編集 安楽椅子探偵・水島老人 美波と修矢が出会う以前
《旧体育館の幽霊》
《手焼き煎餅の密室》
《回る寿司》
《熊の面、翁の面》
《そして、もう一人》
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「天使が開けた密室」の作者、谷原秋桜子の最新作。
時間軸は全3作より前で主人公美波が中学生の頃に
出会った事件を集めた短編集。
どの短編も骨組みはしっかり出来ているなぁと
思って読んでいましたが最後の章に出てくる
(いずれ美波の友人になる)大富豪の令嬢
西園寺かのこの推理に驚き。
ほんわかな推理モノが好きなら買って
損はないような気がします。
Posted by ブクログ
連作短編。タックシリーズの初期とか、北村薫の最初の頃を思い出すような雰囲気。ふわっとしていいんだけど、ミステリとしても物語としても、ちょっと物足りない。
もともとは長編シリーズで、これはその「前日談」とでも言うべきもののようだから、まずは長編シリーズを読んでみるべきなのかもしれない。物語としてもミステリとしても物足りなく思ったけれど、キャラの並べ方はなかなかいいなと思ったのは確かだから。
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連作短編集。シリーズものの前日譚。本編シリーズ未読でここから入ってしまいましたが。これは本編シリーズ読むとまた違う感想を抱きそうです。一冊読んでみようかな。とりあえず☆3.5で。
Posted by ブクログ
“わたしの名前は、倉西美波。年齢は十三歳。東京都郊外のH市に住んでいる。
(中略)
本名は水島啓輔さん。うちの隣に建つ洋館の主だ。もちろん血はつながっていないけれど、わたしにとっては本当の祖父も同様の存在だった。
水島のじいちゃんは若い頃、世界中を旅したそうで、そうした経験に加え、大の読書家だから、非常な博識で、わたしがどんな質問をしても、たちどころに正確な答えが返ってくる。
そして、先月初めてわかったのだが、水島のじいちゃんは人並外れた鋭い推理力をもつ、名探偵だったのだ。”
内容は、まだ、美波と修矢が会う前。美波+直海とかのこが会う前。水島のじいちゃんが生きていた頃の短編集。
探偵役を担うのは水島のじいちゃん。
修矢が水島のじいちゃんの洋館で住むようになったいきさつとか、今まで明かされていなかったことがいくつも出てきて結構楽しめた。
意外なところで皆が繋がっていたっていう。
最後の締めもすっときれいでよかった。
そしてミギーさんのイラスト、挿絵もあって美しすぎる。
“「ねえ、修矢。君は詩織さんの十代の頃の写真を見たことがあるかね」
「えっ?あ、はい。何枚かは」
「いつも、白いヘアバンドをしていただろう」
「そうです。好きだったみたいですね」
「実は、倉西美波という子も、普段ずっと白いヘアバンドをしているんだよ」
「えっ……?そうなのですか」
「うん。顔の雰囲気も、どこか似ているように思う。色白で、目の大きなところとか……鼻のあたりのソバカスとかね。一度、会ってみるかね?」
「じょ、冗談はやめてください。相手はまだ中学生なんでしょう」
とっさにそう返事をしたが、内心は興味を抱き始めていた。母さんの若い頃にそっくりな少女。遠くからでもいいから見てみたい。
「……そうか。まあ、無理にというわけにもいかないからなあ」
そんな気持ちも知らず、水島のじいちゃんはあっさり申し出を撤回してしまった。そして、ケンゾウの背中をなでながら、
「でもねえ、修矢。いつか、わたしも死ぬ。その後は、君にこの家に住んでもらいたいと思っているんだ。そして、さっきのあの子の身に何かあった時、守ってやってほしいんだよ。そう。わたしの代わりにね」”