【感想・ネタバレ】寺田寅彦と現代――等身大の科学をもとめてのレビュー

あらすじ

「寺田寅彦について現代から再照射してみたい……といって、これまで多く書かれてきた寺田寅彦論を繰り返そうという意図ではない。彼の死から70年近くも経っており、現代科学は彼の時代から大きく変貌し、また社会における科学の位置づけも異なっている。過去を惜しむかのような寺田寅彦論ではなく、彼の眼を借りて、現代科学の有りようを批判的に炙り出したいのだ。現代の私たちは、科学・技術の巨大な成果に取り巻かれ、もはや科学・技術と縁を切って生きることができない。しかし、科学・技術の負の側面にも直面することになった。科学は善とばかりに考え、このまま野放図に拡大していって良いかどうか、じっくり考えるべき時が来ている。科学の光と陰を見据えながら、寺田寅彦を現代に蘇らせてみようという試みである」(はじめに)。寺田寅彦は「二つの文化」、自然科学と文学という二つの領域において輝かしい業績を遺した。科学にあっては、ゆらぎやアポトーシスなど、複雑系の科学への流れを想定し、映画や連句においてはモンタージュ論によって芸術理論の革新を計った。本書は、科学における多くの先見の明、戦争や地震災害にたいする対応などから、多面的な人間=寅彦の全体像を初めて明らかにし、その遺産を近・現代科学史に位置づけた刺戟的な労作である。

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Posted by ブクログ

役立つ科学、経済論理に合った科学、国家主導の科学、科学の企業化など、筆者が言うように現代の科学は寅彦の時代の科学のあり方から大きく変容をしている。もちろん時代の中に埋め込まれているものであるから当たり前だが、本質的なものからのズレの大きさからの危機感を感じる。
著者が提言している寅彦流の、「等身大の科学」や「新しい博物学」は文理融合的でありながら、基礎研究を大切にするであろうし、そう言った視点は現流の科学の方向性の行き過ぎをコントロールもするのではと感じる。
誰もが考えるべき科学のあり方を、これほどわかりやすく説明されている本は珍しい。
素晴らしかった。

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2026年05月05日

Posted by ブクログ

著者は、物理学者寺田寅彦氏の科学・芸術・文化に対する姿勢を明らかにしつつ、自らの「等身大の科学」と「新しい博物学」という考え方を紹介。
冒頭から第四章まで、著者の持論について特に分かりやすく説明されています。科学教育は確かに大切ですね。

0
2009年11月16日

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