あらすじ
科学的な推理を身上とする名探偵シャーロック・ホームズを生んだのは、心霊と愛国に没頭するお騒がせ男だった!
コナン・ドイルの数奇な人生を、現地で識者に取材した最新証言を交え、作品とともに解説する。
・40歳で突然「軍隊に入る」宣言
・「切り裂きジャック事件」の犯人説
・世間を騒がせた「妖精事件」
・アガサ・クリスティ失踪で勝手に「心霊捜査」
・タイタニック号事件をめぐり大論争
・政治家を目指して二度落選
「科学」と「非科学」の間で揺れ動きながら
名探偵シャーロック・ホームズを生んだ不思議
本書で解ける謎
・ホームズのモデルとなった恩師・ベル博士はどんな人物か?
・「ワトソン」を発明したドイル。どんな効果を狙っていた?
・19世紀のロンドン近郊で、ホームズが爆発的人気を呼んだ理由
・ホームズの推理が現代人から見ると時々「かなり雑」なのは?
・ダーウィンの進化論で、英国人が心霊主義に走ったのはなぜ?
・「切り裂きジャック事件」で「医師犯人説」が否定される根拠
・医師としても成功していたドイルが作家専業を決意したきっかけ
・ロンドン留学中の夏目漱石とドイルが出会っていた可能性は?
・妻が病死し、失意のどん底にあったドイルを元気にした「事件」
・人気絶頂のホームズをなぜ『最後の事件』で葬ろうとしたのか?
怪しい事象に突き進む、危うい男……なのに
なぜ、誰もがドイルを愛したか?
★(巻末付録)世界一短いホームズのブックガイド……ホームズ全60作品を解説・評価
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Posted by ブクログ
世界で最も有名な探偵の一人、シャーロック・ホームズの生みの親。その生涯は作品以上にドラマチック。医学の道へと進む傍ら執筆活動を始め、シャーロック・ホームズシリーズで成功を収めるも、ドイルの心境は複雑だった。本当は歴史小説で身を立てたかったからだ。シリーズものの宿命か、ホームズを疎ましく思ったドイルは宿敵モリアーティ諸共葬ってしまう。だが後に(時系列的にはライヘンバッハ前だが)、『バスカヴィル家の犬』でホームズを復活させる。
心霊主義に傾倒、フリーメイソンへの加入、突然思い立って軍医として南ア戦争に従軍、政界への進出(失敗)など、行動力の塊、悪く言えば落ち着きがない。
息子や母を失くすと、悲しみの拠り所として妖精やファラオの呪いなどますます心霊主義に傾倒していく。そんなところが切ない。また、ホームズシリーズも戦争を機に暗く、陰惨なテイストになってしまう。だが最後にはきっちりとホームズを引退させ、ドイルは各地を巡る最後の旅に出る。そして1930年、71年の生涯に幕を下ろす。
永遠に語り継がれるであろうホームズを生み出したコナン・ドイルの波瀾万丈の生涯。大英帝国を駆け抜けたドイルは、その危うさも含め途轍もなく魅力的な人物。
興味深い点
・切り裂きジャックは医師が犯人という説は否定されている点。
・冤罪を証明するためホームズよろしくドイル自身が奔走する点。
・ドイルが安藤貴一という日本人のインタビューに答え、その中で歴史小説家として評価されないことを愚痴っている点。
・政界デビューは果たせなかったものの、講演会で後の首相チャーチルと肩を並べていた点。
・ホームズシリーズで出てくる謎の日本武術バリツにはモデルがある点。
・タイタニック事故を巡るバーナード・ショーとの論争。スミス船長や楽団の行動を英雄的行為として称賛すべきか否か。
・身内の死によりますます心霊主義に傾倒したドイルだったが、ホームズだけは最後まで心霊の世界に連れていかなかった点。
・失踪したアガサ・クリスティーを「心霊捜査」で見つけ出そうとする点。