あらすじ
不況に震災が重なり、「苦難」に直面する人が増え続けている。人生の様々な苦難に遭遇した人たちへのインタビューを続けてきた著者が考える、いまを生き抜くための「すべ」とは? 先が見えない時代だからこそ、「私」を見つめ、「私から始める」ことの大切さを綴る、不思議な浸透力に満ちた一冊。
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Posted by ブクログ
これまでのコラムは、他者を暖かいながらも客観的に淡々と描写することによって「人が困難に直面した時にどう対応するのか」を書き綴ってきた.
今回は、一転して自身の内面をさらけ出し、内面を奥のほうまで掘って掘って掘りまくる.
「良き自分探し」とは内面に向かって自分を掘ること、「悪しき自分探し」とは自分の外側に向けて、どこか別の場所に行けば本当の自分が見つかるのではないかとさまようこと.
62歳とは思えないような、悪く言うと「青臭い」悩みもどんどん開陳してくれる.
人がいざというときに頼りにするのは「限界哲学」いわゆる俗な日常にありふれた言葉であるのは納得がいくものであった.
いかにありふれた言葉であろうとも、その言葉が心に腑に落ちてしっかり根付いていれば、言葉の高貴さや俗さはあまり問題じゃないんだと思う.
Posted by ブクログ
レビューを見て興味を持ち、読んでみた。
上原氏の著作を読んだのはこれが初めてである。
タイトルやレビューから想像した内容とは少し違ったが、読み応えがあった。
心が折れそうになった時はこうしたらいい、というような
単純であったり押し付けに近かったりするような内容ではなく、
どうしたら良いのか、どうするのか、どうしたのか
ということをひとつひとつのエピソードから、人に体当たりで取材したり
様々な創作物から引用したりして、人の考え方、そこから得た自分の考えが書かれている。
これが良いとかあれが駄目だとかいったことはひとつもなく、
人それぞれのやり方があるのだと実感した。
将来のことを考えるのは結構だが、その為に今を犠牲にするのは違うと思う。
自死した哲学者のエピソードは中々に衝撃だった。
また、自分探しという言葉に対する自分の疑問について、
明快に書きだされており非常に共感した。
自分探し自体は否定されるべきことではないはずなのだが
そこに感じる違和感というのは、どこかへ行けば自分が見つかるという
安易で他力本願なやり方をする自分探しと、
自分自身を見つめ直す自分探しとは全く違うものと言えるのに
一絡げに議論されることが多いからだと思う。
自分を深く掘り下げていけば、井戸が地下水脈に繋がるように
外に広く繋がっていうというのはなるほどと思った。
心が折れそうになった時、自分を支えるのは自分の経験と
そこから何を得て何を決めどこへ進むかということであり、
そんな自分を形作ったのは今まで出会ってきた、親をはじめとする周囲の人間関係なのだと思う。