あらすじ
「喪失感」とは、大切な人やものを失ったとき、さまざまな悲痛な思いが複雑に絡み合う、誰しもが抱く感情。高齢者専門の精神科医として、多くの患者やその家族と向き合ってきた著者・和田秀樹氏が、自らも60代半ばを迎えたいまだからこそ、心理学を学んできた精神科医として、今を生きる同年代として、喪失感という大きなテーマを、現代風に捉え直しました。
医療の発達により平均寿命が飛躍的に伸び「人生100年時代」となった現代、人生後半をむかえた人々は、喪失に対する心得にも変化が必要と言います。かつて「老後の始まり」だった60代は、現代では「人生の新しい章の始まり」であると同時に、「家族や友人との付き合いがガラリと変わる転換期」でもある。つまり、喪失感の塊が襲いかかってくる年代なのです。
本書では「若い頃のように身体が動かなくなった」「周囲の環境が変わってしまった」といった身近なものから、「二度と戻らない物事への後悔」「死」など人生を変えるような大きな出来事まで、相談事例を多く交えながら、さまざまな喪失感とどう向き合い、どう乗り越えていくかの具体的なヒントを紹介。あなたの喪失感や不安をやわらげ、前向きな気づきを与える処方箋のような一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
60代の「心と体」「人間関係」「キャリアと生きがい」の喪失感を、データと具体例で丁寧に掘り下げている一冊でした。
世代は中年に限定されているけれど、中には
・心地よい人間関係を選ぶ
・環境の変化を受け入れる
・今の自分に飽きたら、新しい自分を楽しむ
など、中年以外にも響く示唆が多い。
特に「新しいコミュニティに参加する」という提案は、独身でコミュニティが限られがちな自分にも刺さった。これからは近所のイベントにも少し目を向けてみようと思う。
「余命宣告は、残り時間を有意義に使うための視点転換にもなる」という哲学的な考え方にもハッとさせられた。
中年向けの本だけど、どの世代にも“生き方の問い”として読める一冊。