あらすじ
この世に、くだらないものなんて、ない。僕がミドリムシと歩んできたこの10年のストーリーで伝えたいことは、このことだけなんです――。2012年12月に東証マザーズ上場を果たす、東大発のバイオベンチャー、ユーグレナ。その創業者である出雲充氏が、起業までの7年間と、起業してからの7年間を、初めて語る!■ミドリムシに秘められた可能性――世界初の快挙「ミドリムシの屋外大量培養」は、なぜ夢の技術なのか?「ミドリムシ(学名ユーグレナ)」。この動物と植物の両方の特徴を併せ持つ「ハイブリッド」ともいうべきこの微生物は、なんと59種類もの栄養素を生み出し、光合成により二酸化炭素を吸収し、しかも「バイオ燃料」を取り出すこともできます。つまり、「食糧・栄養問題」「地球温暖化問題」そして「エネルギー問題」という世界を悩ませる大問題を一気に解決する生物なのだ。そんなミドリムシの大量培養を世界で初めて確立したのが、東大発のバイオベンチャー、ユーグレナなんです。■初めて語られる起業ストーリー――全世界注目の起業家が乗り越えてきた試練とは?2012年、出雲氏は、世界経済フォーラム(ダボス会議)で「ヤンググローバルリーダーズ」、ジャパンベンチャーアワード「経済産業大臣賞」を受賞するなど、全世界から注目を集める起業家のひとり。バングラデシュで栄養問題に出会ってしまうところから始まる本書では、ミドリムシ、そして頼れる仲間との出会い、迷いのなか起業に踏み切ったこと、テクノロジーを継承しブレイクスルーしたこと、次から次へと現れる巨大な試練にどうやって立ち向かったか……など、今まで語られることのなかった起業ストーリーが明らかにされます。■だから、くだらないものなんて、ない。――いま目の前にある小さな可能性に目を向けよう!ミドリムシという小さな生物の可能性を何とか引き出して、世界中に伝えよう――。10年にわたって向き合ってきた出雲氏であればこその、「いま自分が取り組んでいる小さな仕事に、世界を変える大きな意味がある」というメッセージに、心震えます。ミドリムシから取り出したジェット燃料で、飛行機が飛ぶ日がもうすぐやってくるかもしれません。
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Posted by ブクログ
筆者は「国連に入って世界から飢餓をなくしたい」と考えていましたが、東大在学中の海外インターンシップで想像と異なる現実を目の当たりにします。
そこから、「ビジネスを通じて飢えに苦しむ人に十分な栄養を提供したい」という思いに変わります。
そして、あるきっかけを機に、ミドリムシ(学名:ユーグレナ)の食料資源化の可能性を知ります。
当時、ミドリムシの培養は技術的に非常に難しく、成功した例が世界にもありませんでした。
それでも、就職した大手銀行を1年で辞め、東大の後輩とともに、2005年にバイオベンチャー企業「ユーグレナ」を立ち上げます。
創業の時点ではミドリムシの培養技術が確立する見込みは立っていなかったそうです。
創業に踏み切ったのは、当時堀江貴文氏が社長を務めていたライブドアが、ユーグレナのスタートアップを支援することになったからだといいます。
出雲氏は、ミドリムシの話をちょっと聞いただけですぐに本質を理解して、ビジネスの可能性を見い出した堀江氏の頭の回転の速さに圧倒されたとも語っています。
研究の末、ついに世界発のミドリムシの培養に成功し、事業化の道筋が見えてきます。
ところが、2006年に起きたライブドアの不祥事によって、ユーグレナの事業計画はストップしてしまいます。
ユーグレナの顧客やパートナーになる予定だった企業からもイメージだけですべて断られてしまったそうです。
その状態から開発したサプリメントの営業活動を必死におこないますが、初めは全く売れませんでした。
資金がギリギリの苦しい状態が3年近く続きますが、努力の末やがて大手商社のバックアップを受けられることが決まります。
さらに、話題となった映画『不都合な真実』によって地球環境問題への関心が高まり、ユーグレナの取り組みが一気に注目を集めます。
そして多くのパートナー企業と手を組み、2012年に経済産業大臣賞などを受賞されます。
本書で出雲氏が最も伝えたいメッセージが冒頭に載っています。
『くだらないものなんて、ない。』
ミドリムシという微生物の秘められた力から、どんな生き物、どんな人、どんな仕事にも必ず意味や可能性があるのだと学んだそうです。
そしてユーグレナの立ち上げを通じて、自分たちが本当に正しいことをやっていれば、どこかに必ずそれに共感してくれる人がいるのだと体感したといいます。
本書を読んで、出雲氏や創業をともにされた方々のひたむきな情熱、苦しい時もあきらめない姿から、一緒に仕事を通じて豊かになっていこうと伝え続けてきた私自身の経験とも重なりあい、とても共感したのと同時に胸が熱くなりました。
とにかくたくさんの人に会って、本気で自分の思いを伝える。
そうすると、自分の話を聞いてくれる人にどこかで必ず出会える。
私が今まで努力してきたことに対する確信も深まり、また新しい領域に踏み出す力も湧いてきました。
私は健康にも気をつかっていて、ユーグレナのドリンクを飲んでとても美味しいと感じましたし、ミドリムシについて興味を持つきっかけにもなりましたね。
チャレンジする気持ちを後押ししてくれる素晴らしい一冊でした。
Posted by ブクログ
1.ミドリムシが食べ物として売られていることは知っていたのですが、燃料になるということは知らなかったので、思わず購入しました。
2.著者が「国を救いたい」と言った一言から始まったミドリムシビジネスが数多の失敗を乗り越えて成功するまでに至る自叙伝です。
著者自身、銀行マンとして1年働いたが、夢を追うために退職し、相棒の鈴木さんと共に、ミドリムシについての研究を重ねていきます。真剣に取り組むにつれ、大学の先生方などに協力をしてもらい、大量培養に成功する。しかし、親会社に強制捜査が入り、全ての会社が相手にしてくれなくなりました。そこから、どん底を経験して復活を果たしていく物語です。
3.自分が印象に残っているのは3つです。1つは、物事に対して真剣に取り組むことで、応援してくれる人が寄ってくるということです。著者も述べているように、鈴木さんや、福本さんなど多くの人材が協力してくれたことで現在に至っています。これは、著者の日々の努力が生み出した結果だと思います。2つめは、逆境に身を置かれた時に自分の真価が問われるということです。会社の上司によく言われるのが、「若い頃の苦労は買ってでもしろ」です。これは、ある意味では正解だと思っています。今話題になっているパワハラや無駄な長時間労働を買ってでもしろという上司が多くいます。しかし、著者のような、上手くいかない時に努力する苦労が大切なのだと改めて思いました。3つめは、本書にも述べていた「10年経ったら辞めるっていうのは、お前、ずっと辞めないってことだよ」という部分です。安全圏にいながら、本気で何かに取り組むことはできないということです。人間には、現状維持をしたい思いが強いため、その場の居心地がよければそちらに流されてしまい、いつしか夢を追うことを辞めてしまいます。そのため、自分が本気で取り組むのであれば、その環境を創ることが大切だと思いました。
Posted by ブクログ
頑張れ、ユーグレナ!
天才と情熱家が集まると、化学反応おこすんかな。
経営者としての苦しみとか、世間のありようとか、いろいろ感じることもあるけど、世界を救いたいっていう根本の感情にリスペクトやなぁ。
Posted by ブクログ
友人にユーグレナのミドリムシの粉末をいただき、ミドリムシとはを初めて知りました。
どうせ東大出身のベンチャーなんて順風満帆いくのだろうと思っていましたが、とても苦労していたことがよくわかりました。一度失敗に終わった研究を掘り起こすことの大変さ、まだまだ有用だが研究が止まってしまっているものもたくさんあるのだろうなと知りました。
困難な時にも、ここでやめたらミドリムシに悪い、とミドリムシのことを一番に考えていることはすごい。
人脈の力ってすごい。頭のいい人、アイディアのある人、金を稼ぎ出しそうな人の周りには、良いも悪いもその匂いを嗅ぎつけたオトナがたくさん集まるのだなあー。
最近はイトーヨーカドーでも商品を見かけるようになりましたが、商売もとても大切ですが、はやくグラミン銀行のように貧しい人々の支援をし彼らのお腹を満たすような具体的な事業を行って欲しいと思います。そしたらもっともっともーっと応援したい!
Posted by ブクログ
ドラマティックな展開で、次々と魅力的な人を巻き込んでいく出雲さんに圧倒されながらあっという間に読んでしまった。「世界の食糧問題を解決する」という強いパッションを持ち続け、地道に辛抱強くパッションを伝え続けたことが、成功につながっているのだと思う。
それにしても本当にミドリムシが魅力的すぎる。他の植物や藻類とは違うミドリムシの可能性についてもっと学術的な解説も読んでみたい。
ミドリムシの可能性
①貧困地域の「栄養素不足」という飢餓問題を解決できる
葉緑素を持ち自分で動くことができるミドリムシは、動物と植物の両方の性質を備えているので、植物性の栄養素と動物性の栄養素を合わせて計59種類もの栄養素を作ることができる。宇宙食としても期待できる。
②再生可能なバイオ燃料として利用できる
ミドリムシが持つ油は、他の植物からつくる油とは性質が異なり、効率よくエネルギーを取り出すことができる。ミドリムシでジェット機を飛ばすプロジェクトが進んでいる。
③二酸化炭素の増加による地球温暖化を食い止めることができる
5億年前のまだ大気中の酸素濃度が低かった頃から光合成を行ってきたミドリムシは、高等植物よりも光合成能が高い。また、高濃度の二酸化炭素環境下でも生育できるため、発電所から排出される高濃度の二酸化炭素を光合成に利用させて、二酸化炭素の排出を抑えることができるかもしれない。
④どこでも育てられる
農地ではなくプールで育てるので、砂漠でも汚染地域でも、日照と水を用意できれば育てることができる。